「やめるか決めるのは僕だ、君にはそんな権利はない」
 勝ち誇る笑顔で言うサルン。本当に嫌な性格だ。
「その子供とセイキンとかいう奴はいずれ解放するつもりだ」
「なに?」
 思いがけない言葉にちょっとびっくりのリック。
「だが、仕込が済むまでは居てもらう……ま、もっともいなくてもいいんだけど」
「仕込みだと?」
 何を言っているかわからない二人のエルフ。

「もうしばらくおとなしくしてもらおうか」
 黙っているリック。横に居るエルフの男も黙っている。

「へたなことはしない方がいい、君達は……弱い立場の者達だ、弱い立場の者たちにはふさわしい行動が必要だよ」
 なんと言う……なんという言い草……。

「勝手にしろ!」
 精一杯の抵抗のリック。
「さて……明日からが楽しみだ、お休み二人とも」
 サルンがクルッと後ろを振り向く。その後ろ姿の美少年をただただ黙って二人は見つめていた。






「大丈夫?」
「……ええ……なんとか」
 弱弱しい声でマレイアスが答える。心配そうなランカ。
「なんとお詫びを言えばいいのか……本当に」
「あなたに言ってもらうのは筋違いだ」
 サルンに徹底的に犯された身体を起きあげるマレイアス。
 支給された服は汗とエッチなにおいでいっぱいだ。それはランカも同じ。
 軍服がものの見事にレイプされた後を残している。

「なあ、サルンって……」
「え?」
 ランカが聞き返す。
「本当にあのサルディーニ?」
 問いかけるマレイアス。
「…………ええ……」
 黙っているランカ。これ以上は言いたくないのだろう。
「そうか……噂じゃ亡くなったと聞いていたのだけど」
 疲れているマレイアスだが、今ならいろいろ聞きたい事が聞ける。この女軍人に。


「マレイアス……あなたには……話した方がいいかもしれないわね……
どうせもう……わかることだし」
 ランカがサルン、いやサルディ−二殿下のことを話し始めた。







「サルンがサルディーニ? あのサルディーニ殿下だというのですか?」
「そうじゃ、間違いあるまい」
 老人が側にいる側近に答える。
「ブックル様、それじゃあなおさら大問題ですぞ」
「うむ……事がばれればな」
 娘が心配な老人。やっと55過ぎて出来た子供をさらわれたのだ。そりゃあ心配でたまらない。

「しかし、亡くなったと……聞いていたのですが」
「おそらく表向きの発表であろう。そうするしかなかったはずじゃ、あれだけ好き放題されてはの」
「……私にはよく分かりません」
「そなたがここに来る前のことじゃよ……そう……5年ほど前か……皇太子の儀式の日のことじゃ」
 ブックル老人は目をつぶってゆっくりとあの時のことを思い出し始めた。

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