ダークエルフの王族には他の一般のダークエルフの者達よりもパワーと力がある。
 エルフ族は身体から触手のようなモノを出すことが出来る。
 また不思議なエネルギー弾や、水晶のようなカプセル球体を手から発生させ空中に飛行することも出来るのだ。もっとも水晶を作り出す事が出来るのは王族だけだが。

 そして王族の中でも王と皇太子または時期女王になる女性だけはある特別な儀式でさらにパワーと力を身につけることが出来る。

 その力をサルディーニに与えてしまったのだ……そして幽閉から一ヶ月……


「サルディーニは幽閉の牢を壊して脱出したということじゃ」
「……なるほど……しかしそれからなぜ亡くなったと言う事に?」
「そういう風に発表したのじゃよ、先にもう死んだということにして、それからゆっくりと探して対処しようということじゃった……そうすれば他の国の者たちもある意味安心する。だがの……」

 数年たってもサルディーニは見つからなかった……そして二年ほど前からサルンという男が次から次に人間の女を犯し、殺しているという噂が広まる。

「そうだったのですか……」
 納得する側近。
「……うむ……」
「ではあのエルフの軍人たちでは……」
「到底歯が立つまい」
「なら、なぜ?」
 聞き返す側近。なぜ歯が立たない軍人たちに拘束させようとするのか?
「なぜであろうな……それは向こうの事情であろう」
 
 

 なぜ? 本気でサルンを捕まえようとしないのか?



「捕まえるには……いや殺すには……おそらく王族が束になってかからねば無理のはずじゃ」
「なるほど……しかし……それが出来ないというのでしょうか?」
「……さあな……向こうの事情じゃからな」
 困った顔をさらにするブックル……こうしている間にも……娘の身に……何かあったら……

 サルンが……もし……手を……



 考えたくない!!



「とにかく……ここはベルガディーニ王の判断次第じゃ……わしはそれを待つ……今回ばかりは動くであろう……出なければわしにも考えはある」
「……はい」
 側近が答える。
「よいな、今しばらくはこのこと口外無用じゃぞ」
「わかりました」
 ブックルは今しばらく様子をみることに決めた……ある意味……辛い決断でもある。

 その頃……淫靡と陵辱に満ちた森ではランカへの攻めが始まっていた。
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