防御カプセルが一瞬にして乙女を包む! 
 身体に危機が迫るとダークエルフは本能でこうなるのだ。

 そのカプセルをサルンの火の玉は包んで破壊した!

「きゃあああああああっ!!――――」
 倒れこむラゼ……力尽きたらしい。だが、殺してはいないようだ。
 ゆっくりとサルンが近づく。

「たいしたもんだ、一人でもやる気とはね」
 勝ち誇るサルン。王の力を得たこの少年は、さらに強くなった。いや、なってしまったのだ。

「サルン!」
 ミシェルンたちが駆け寄ってきた。洞窟の奥で見守っていたのだ。ランカもインリもいる。ランカはむなしい表情をしている。

 ――もはや……手遅れ……ね。
 戦乙女にではない。サルンの絶望的な強さにだった。

 勝者の汗をかくダークエルフのサルン。
 王位の力を継ぐこの少年は、もうだれも止める事はできない。

「ミシェルン、ラゼを快方してやってくれ」
「でも、また反旗を翻したら怖いわ」
「大丈夫だ、僕も一緒にいる。それに、数日はあのパワーはもう出ない。なあ〜ランカ」
 嫌味たっぷりに言うサルン。ランカはダークエルフの女軍人だ。力を使い果たした後の、回復具合なども良く知っている。

「……ええ」
 認めなければいけないという想いが、辛い。
「妙な事はするなよ、わかったな」
 ミシェルンたちにチクリ。なんせ、ミシェルンやインリには王族は敵でもある。逆にこれだけ身分の高い者ならどうこうしようと思うかもしれないからだ。
「わかってるわよ」
 ちょっと不満そう。するとサルンがマレイアスのカプセルを外す。自由になったマレイアス。だが、大きな結界はまだ効いている。その結果からは出れないだろう。

 しかし、マレイアスの行動は違っていた!
「うおおおおおおおおおおおおっ!!――――」
 恨みを込めるように、サルンに襲い掛かる!

 だが、片手でその剣をつかむサルン。
「后になるんだから……もう少し頭はよくないと……」
 なんと注意をしている。あきれた少年だ。
「ぐぐっ……こ、このおおっ……」
 怒りを込めて剣を持ったまま暴れようとするが、これが精一杯。

「ちょうどいい、このままもう一汗かこう、一緒にね」
 というとマレイアスを抱き寄せた。剣を捨てさせ抱き寄せる。
「なに?」
 宙に浮く二人。
「后なんだから、することをするのさ」
 笑う未来の王。
「な、なんだと!――」
 どうやら天空でエッチする気らしい。まだそんな体力があるというのか?

「やめろっ――――」
 洞窟ではなく、今度はお空の上……なんでそんなところでこんな奴と……
「ランカ、君は逃げたいたら逃げるといい。君だけ僕の結界は、抜けれるようにしておくよ。ただし、一人でな」
 パチンと指を鳴らす。これでランカだけ逃げれるようだ。
 だが、絶対に逃げないだろう。それを見越している。

 戦乙女はまったく力が出ない。結界を抜ける力はない。それにミシェルンたちが許すはずがない。
「だめ!―― わたしのおもちゃがいなくなるもん!」
 インリがめずらしくかわいい言い方をする。

「こ、この……」
 にやっと笑っているインリにむかつき放題のランカ。
「離せ! 離せってば!――」
 抱きつかれたまま、暴れるマレイアス。しかし、どうしようもない。二人は上空へ飛び立っていく。

 天空セックスをするために……

「ラゼ様……」
 むなしく乙女を見るランカ。ラゼを放置して逃げる事は軍人として許されない。ましてマレイアスもいるのだ。グッと上空へ向かっていくサルンをにらむ。

「あうっ!――」
 いきなりお尻の穴に刺激がきた。インリが遊んでいる。
「さあ〜続きをしましょうね」
 なんちゅう少女だ。

 サルンは戦いに勝った。殺害どころか、マレイアス、ランカ解放さえも失敗。さらに仲間の一人を失った王族軍……

 これからどうなっていくのだろうか?
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