デビュー


 30人ほどの人数だろうか? たくさんの女子がいる。みな担任の先生が来るまで雑談と言う所だろう。
 だがよく見てみると結構まじめそうなタイプが多い。
 最近の学生は本当に自由活発というかわがままが多いのだが、
 やはりこの学校の教育の賜物なのだろう。

 ――ガラッー
 扉が開いた……

 二人の女性が入ってくる。

 う〜んどうみても背が高い翔子の方が大人だ。

「みなさん今日から新しい生徒が一人加わります」
 一斉に30人強の眼が翔子に迫った。

 ――ふ〜ん、結構大人しいタイプばっかりじゃない。

 翔子の値踏みが始まる。

 ――あら、あそこの女は骨がありそうね。

 一番最初に眼に止まった女。

 右端の後ろの方に背をスーッときれいに伸ばして座っている女性がいる。
 胸も大きく、その形も抜群のモノだ。上目遣いで翔子を見るその顔つきは、なかなかするどい。

 何かいろいろ先生は翔子の事についてしゃべっている。その間に翔子は値踏みしているようだ。
 次に目に止まった女が、左の中央付近にいる女の子。

 あどけないタイプに見える。

 が、こういうタイプは得てして見かけと中身が違うものだ。
 言い方を悪くすれば、いじめとかでガラッと変わる怖いタイプ。

「では如月さんごあいさつを」
「はい、みなさま方よろしくお願いいたします」
 翔子は深く一礼した。

 みなし〜んとしている。
 腹の底が見えない。怖い瞬間だ。


「よろしくね翔子ちゃん」
 突然、あのあどけないタイプの女の子がちょっと大きな声で言った。
 翔子は落ち着いてにっこりと答える。だが、内心は全く違う。

 ――なれなれしいわね。この子……

 もうここから翔子の戦いは始まっているのだ。

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