大パーティ会場……そう呼ぶのにふさわしい場所だ。

 何百人という貴族の娘が……ではなくて、メイドさんたちが、豪華で綺麗なドレスで着飾って踊ったり談笑したりしているのだ。
 座っている者、立っている者。いろいろだ。ワインを飲みながら、あるいはお酒を飲みながら、あるいはクッキーを食べ……


 あら?……

「おいしい〜」
 クッキーを一番おいしそうに食べているのはミクだ。ミクはお酒は飲まない。代わりにクッキーやお菓子ばっかり食べている。マイカは肉料理に手をつけてワインをたしなんでいるようだ。

「ああ〜選ばれて幸せ〜」
 うれしそうだマイカは、このまえ開催された時は行く事が出来なかったのでなおさらだった。
「すご〜い、ですよねえ〜」
 横にはぴったりとエンヤがいる。あれから何かに目覚めた二人。かなり仲が良くなってきたらしい。
 でも今日はマイカお姉さまを見るよりもこの雰囲気に飲まれてしまっている。

 右端に50人ほどの演奏者がオーケストラでクラシックを流している。清らかなメロディが優雅な雰囲気をかもし出す。


 生演奏だ。


 そしてこの擬似貴族の娘たちを世話するのはすべてこの日のために雇われた少年達。
 女性はだれ一人もいない。徹底している。忙しく動き回っている少年達。
 雇用には役に立っているだろう。

 辺りを見回しているのはミクだ。

 


 ――はあ〜すごい〜




 かわいいドレスでちょろちょろと動き回りながらいろいろ見ている。
 ため息がつくばかりの贅沢。
 はじめての体験、パーティにメイドとして忙しく働くことはあってもクッキーを思いっきり好きなだけ食べられるということは体験したことがない。

 相当お金はかかるはずだ。これだけの大掛かりな宴会はそうない。表向きは日頃のメイドたちの癒しなのだが、それにここまでするかという豪華さ。
 
 もちろんクッキー代は安いとは思うが。

 大宴会場は外にも出れるようになっている。外の庭もぬかりはない。夜のパーティを惹き立てるために、蝋燭の光、そしてたいまつのようなものでほどこされた美しい風景。
 ここで愛でもささやかれたらうっとりしそうな雰囲気だ。
 外でも気軽に食事が出来るようにもしてある。

 表向きはメイドのため、裏は貴族のプライドがぶつかり合うパーティ。
 
 ミクにはめずらしいモノばかりだ。メイドが一人もいないパーティなのだから。
 さらにすべて少年が世話とは……

 

 ん?


 なんと!

 生演奏している演奏者も……



 少年ではないか!

 みな十代ばかりの少年。
 すごい! 徹底している。この徹底振りは凄すぎる。

 さらに指揮者も……少年だ。

 それをきゃあきゃあいいながら見ている貴族の娘……ではなくメイドたち。
 不思議なものだ。不思議な光景……

 

 その不思議な光景の象徴である少年演奏者たちから二階、三階と長く続く階段が中央にある。
 その壇上にはまるで王座のような椅子が置いてある。

 ツス家の椅子だといわんばかりに徹底的に独特の紋章がほどこされている椅子。

 その椅子にでっぷりとダルマさんのような中年男がにこにこと座っていた。

 

 これが……ツス家第三の男……ミツアーウェルである。

 
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