「くあ……あはああっ――」
 クリトリスからくる強烈な性感がラルティーナの身体から汗を流し始めた。ピンと張り詰めた乳首がピクピクと揺れる。いじめられ充血したクリトリスがさらなるいじめを期待している。しかしラルティーナがほしいのはその豆ではなかった。

「ミ……ミウ……う、後ろの……穴を……くうっ」
 絶え間ない快感に興奮しながらも、後ろの穴を攻めてと言う。ミウは素直に従った。お嬢様の後ろに回ってドレスをまた捲り上げて潜り込む。

 ゆっくりとショーツをお尻から剥ぎ取っていく。しかし、両脚はひらいたままだ。ショーツを取れということではないようだ。ドレスの中で、お尻からショーツが半分はみ出したような状態になる。窓ガラスはもう曇りに曇っている。淫乱の吐息がガラスさえ淫らにさせているようだ。中腰でお尻を突き出したまま、バックからお尻の穴に指を入れた。

「くああっ……いいっ! もっと! もっとよ!」
「はい……」
 ミウの中指が潜り込んだ瞬間だった。A感覚の境地に陥る30過ぎのお嬢様。道具である指の悦楽に心がときめく! 
 最近はお尻の攻めに酔いしれることが多くなってきているのだ。

 ――暖かい……

 お尻の穴をゆっくりと開発していくメイド。ここもとうに知り尽くしている。指を動かすたびに、あそこの濡れ具合もよくなっていく。ミウも汗が出てきた。ドレスのスカートの中はむんむん状態。外から見れば、異様な光景だ。ろうそくのみの明かりがさらにこの光景にいびつさを与える。大きく膨らんだスカートの中に潜り込んでいるミウ……

「んんっ! あああああっ!!――」
 ミウの攻めが始まった。やさしくもえぐるようないやらしい指が、30過ぎの女のアナルを恥辱の想いにさせているのだ。それがまたラルティーナにはたまらない。グッと腰をおろしてさらにお尻の穴に力を入れた。入れれば入れるほど逆に感度が上がるのだ。

「いい! もっと、もっと感じさせなさい!」
 最高のA感覚に目が潤む。裏の権力者の妹は、メイドのアナルの秘儀に集中する。指で浣腸されているような感覚……

 ――今日はかなり何か御不満があるみたい……

 おそるべし、アナルの調子でご主人さまの心がわかるのだろうか?
「そこ! そこをもっと! もっと、こう! しつこく!――」
 急激にくるアナルの被虐の想いに、もう耐えられないといったご様子のラルティーナ様。上半身は両乳だけをさらけだし、必死に快感をむさぼっている。するとミウが前の穴も刺激し始めた。

「だめ! 後ろだけ……後ろだけよ!」
 道具が別のことをしようとしたので、否定するお嬢様。
「あ、はい」
 サッと膣攻めをやめて、アナルだけに集中する。

 ――今日は……ここだけで……のようね。
 汗をかいているミウは、ちょっと舌を出した。意気込みが感じられる。

 メイドの貴族の娘に対するさらなるアナルいじりが始まった。



「あ、はい……」
 驚くリリス。いきなりミセルバ様が尋ねてきたというのだ。それもこんな夜中に……

 いそいそとベッドから準備しようと思うリリス。すると看護婦の一人が、
「ここに来るとのことで……」
「え?」
「来てもよいか許可をもらってきてと言われています」
 
 ここに? 

 ――どうして、わざわざ?
 とまどうリリス。しかし拒否する必要はない。だいぶんいつものリリスに戻ってきているようだ。目がかなり元気がある。あれからもう10日ほど過ぎた……

 ――ミセルバ様……

 じっと考え込む。あれから毎日思うことは……ミクのことばかりだった。それ以外に考えられなかったのだ。そのミクの方も、最近やっと元気が出てきた。すると今度は自分のことを考えるようになる。

 ミセルバが入ってきた。
「ミ、ミセルバ……さま」
 驚くリリス。ミセルバの格好は、お忍びでの姿だったのだ。庶民のお嬢さんが着るような格好をしている。側には二人の男がいた。一人は……

 リシュリュー……

 何も言わず軽く会釈する騎士長。
「どう? 気分は?」
 ミセルバがせつなそうな目で見る。白衣のような患者の服を着ているリリス。
「はい……もうだいぶん元気になりました、お気遣いありがとうございます」
「しばらく二人にしてくれるかしら?」
 言われて看護婦とリシュリュー、もう一人の騎士は下がっていく。

 ――ミセルバ様……

 想いが……さまざまな想いが一気にかけめぐる……

 ガバット抱きついた!

 もちろんミセルバ様が。

 ――ミ、ミセルバさま……

 しっかりと抱きとめるリリス。まるでお姉さんが妹を抱きしめるように。
 ミセルバにとってもはやリリスはただのメイドではない。熱い抱擁を交わす二人……

 さあ〜一気にここで……

 とはいかない。今はそんな気分ではないのが二人の本音だ。


「少し……聞きたいこと……聞かせてくれる?」
「……はい、お役に立てることなら」
 リリスがじっと御領主の顔を見る。
 実は落ち着いたらいろいろと聞かせてほしいと言われていたのだ。ミセルバもリリスが回復するのを待っていたらしい。

 二人は真剣に話を始めた……



「騎士長、これからどうなるのでしょうか?」
「……わからぬ」
 それしか返事が出来ない。待合室で黙って待っている二人。もう一人の騎士はこの前の事件と一緒にいた騎士の一人だ。

「馬車が天に昇っていったということを聞くたびに心苦しくなります」
「……それでいい……そういう風に御領主が噂を流したのだ、リリスとミクにとってもその方がよいだろう」
 噂なんか逆に流さない方がよいと思うかもしれないが、それは逆である。どのみち口止めされても必ずこういうのは漏れる。そういう風に世の中はなっているのだ。だから逆に先手を打ったミセルバ様。

 道化師と呼ばれる人たちに金を握らせ、馬車がいなくなった、拉致されたのでは?ということを、天高く飛んでいったと言いふらすようにしたというわけ。

 人間とは面白いものだ。こうなると天高く飛んでいった方が面白いので広まりやすい。道化師は暗い話など好まない、明るい話を面白おかしく話すのが得意だ。
 ミツアーウェルの屋敷から出て行ったアウグス家の御馬車が、天高く飛んでいったというネタの方が庶民には受けやすい。

「それより、聞きたいことがある」
 騎士に問いかける騎士長
「なんでしょうか?」
「騎士帝長殿は、このことを不問にするつもりか?」
「……たぶん」
 予想通りの返事だった。

「アウグス家の御馬車がさらわれて、メイドは誘拐、それで当家の騎士のトップが動かないというのは面白い事だな」
「…………」
 もう一人の騎士は何も言わない。
「ここは本当に変なところだ。騎士帝長が二人いるだけでも異常だよ」
「ええ……そうですね」
 
 騎士帝長が二人? 

 騎士はそれぞれの貴族の家柄で雇うことは出来る、しかし騎士長という階級までしか、与えることは出来ない。騎士帝長というのはその領主の騎士のトップなのだ。ここでいうならアウグス家の騎士帝長バルザックはアウグス家の騎士のトップだけでなく、この領内のすべての騎士のトップにあたる。

 ところが……

 このクローラ地方にはもう一人騎士帝長がいるのだ。

 その家はもちろん、

「ツス家に騎士帝長がいるのもおかしい話だ」
 苦笑する、騎士長。おかいのだがこれが現実。するともう一人の騎士も笑っている。

「私も数年前にこちらに雇われた時はびっくりしました」
「最初、私も王家の方々は、なぜこの状況に何も言わないのか疑問だった」
「……私もです」
 騎士帝長、内政のトップである議長などの重要職は、領主が任命して、王家が了承するのが決まりだった。こうやって表向き王家が干渉しているというように制度が作ってある。もちろん拒否することはまずありえないが。
 そして長なのだから、一人が普通だ。それがこの領内には騎士帝長は二人いるのである。
 フウ〜っとため息をつくリシュリュー。こういうところでしか愚痴は言えないのが騎士の立場。療養所では、告げ口される心配がない。

 愚痴を言うのにも一苦労。

「まだ言いたいことはある、年に一回の王家へのご挨拶のこともそうだ」
「……はははっ……有名ですよね」
 そうですねという表情の騎士。王家へのご挨拶とは領主クラスの貴族が年に一回王家の前で忠誠を誓う儀式のことだ。それに領主でもないのにツス家の当主も参加している。
「なんで領主の家柄でもないのに、一緒に挨拶にいくのかと思ってね」
「特別扱いのようです」
「……まったく……雲の上はいろいろあるのだな」
 リシュリューとしては納得が行かない様子。本当にここは他の領内と違って妙なところが多いのである。
 
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