寝ている女領主。疲れているようだ。しかし、夢の内容が……

「うう〜ん」
 何か悶えている。それにちょっと興奮を覚えるロット。
「い、いけない」
 つぶやいた。淫らなことを考えてはいけないと。しかし、煽るように言葉が続く。

「だ……だめよ」

 ――だ、だめ?
 何が駄目だと思う少年。

「う……うん」
 悩ましい声で言われると辛い。馬車では二人だけだ。横にぴったりついているミセルバ様。そのおっぱいが揺れるたびに当たる。おまけに胸の谷間が押し付けてくる。

 ――く、くそ……あ?
 勃ってきた……

 なんてことだ。これは困る。顔をさらにロットに近づける。耳元でアンアンとささやかれ始めた。

「はあ〜」
 小声で言うのでなおさらエロチック。さらに手を出せないからよけいに辛い。吐息がほっぺにピタピタと当たる。戸惑い興奮する少年。密談の帰りに思わぬ展開になってきた。

 ――ぼくは……男官だ

 そうだ、本来はミセルバの愛人だ。そういう身分だ。しかし……

 ロットの場合は成り行き上である。
 男官としてやっていいはずの行為が素直にできない!

 じっとしていた手がそっと肩を抱こうとする。震える少の手……

 ――駄目かな……
 肩を抱きたい!

 抱きたい少年! 
 本当は肩以上のモノも……

 ――だ、抱いた……
 ついに肩を抱いた。ギュッと思わず力を入れる。さらにミセルバの顔がそり寄った。目の前に愛らしい寝顔が迫る。小声の喘ぎ声つき。

「だめ……よ……」
「え?」
 肩を抱いては駄目と言われたと思った。
「そ……そこを〜」
「…………」

 そこ? そことはどこだ?

「も……もっと〜ん〜」
「…………」
 耳元で言われてはこりゃたまらない。ミセルバ様の使っている香水の匂いが、さらにロットの理性を責める。


 ――だ、駄目だ……
 さらに勃起状態。こんなところで……

 ビンビンに張り詰めたペニス。汗も出てきた。するとどうだ、今度は、悶え声が……

「あ……あはあ〜」
 きっといやらしい夢でも見ているに違いない。それが表に出てきてしまっている。困ったのはロット。 馬車を操っている者にも聞こえそうな大きさである。

「ちょ、ちょっと……」
 思わず起こそうかと思うロット。しかし、ここで起こしてしまうと喘ぎ声はここで終わってしまう。
 損得勘定でいえば、ここでは喘ぎ声は続けてもらわなければいけない状況だ。

 だが、耳元でアンアン言われ続けたら……もう〜

 ――ど、どうかなりそうだ。

「お、奥に……奥よ」
「…………」
 
 奥に奥にといわれても……

 ――うう……奥? 奥に……入れて?

 想像しただでもたまらないのに、ミセルバ様の顔は、ぴったり側に寄り付いている。さらに声で誘惑ときた。

 片方で抱いている肩……

 さらに……ロットは、逆の手で……
 とうとう抱きしめてしまった……


 ――だ、抱いちゃった。
 もう誘惑に耐えられない。ギュッと抱きしめるロット。すると目の前にミセルバ様の唇が……

 ――く、くち……
 思わずごくりとのどを鳴らす美少年。

 ――き、キス
 脳裏にキスという言葉が浮かぶ。
 と、その時!

 ガックン!

 ガックン!――――

 凄い音と同時に馬車が揺れる! びっくりした二人。ミセルバが目を覚ます。

「だ、大丈夫ですか?」
 しっかりと抱きしめているロット。

「あ、あの……揺れたので……抱かせていただき……ました」
 面白いいい訳だ。

「……あ……は、はい」
 ボーっとしているミセルバ様。気持ちのよい夢でも見ていたのだろう。ぽわ〜っとしている。そのせいで、ロットの胸はあったかい。

 ――はあ〜
 嫌がるどころか、心地よいようだ。

「このまま眠りますね」
「え?」
 
 このまま?

 ミセルバ様はわざと胸にもぐった。むにゅっとおっぱいが少年の身体に押し付けられる。

 ということ……は。

 だ。

 ――や、っやった。

 このまま抱いていいという許可が出たのだ。心臓がドキドキ。
 なんというラッキーと思うロット。しかし、男官は愛人という立場だ。本来ならこれぐらいでときめく時代は終わっていなければならない。

 御領主とはセックスさえしたことがない男官。それが男官ロット。
 つかのまの青春を楽しむ。なぜ、ミセルバ様がこのまま眠ると言ったのかはわからない。
 
 だいたい、ミセルバ様は、どう思っているのだろうか?

 こうしてロットは馬車がお城に到着するまで、ミセルバ様を抱き続けたのであった。
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