動き出した権力者



 数日後……ミセルバはいつものように、執務室で書類にサインをしている。だが、ここのところなんとなくすっきりしない気持ちでいる。ミクとの激しい愛のぶつかり合いから何日か経った。その時は気持ちはおさまってはいたのだが、あれから、リリスとミクが気になってしようがないのだ。

 ふう〜だめよ……こんな時に。

 めくるめく官能よりも、違った感情が心の中でざわつく。リリスと……ミクについて。

 話してみたい……はっきりさせたい。このままじゃ……いや。

「ミセルバさま」

 ――このままじゃ。

「ミセルバさま?」
「え?」
 側にいたロットが不思議そうな顔をしている。ミセルバはハッとした。
「ご、ごめんなさい、考え事をしていたから」
「いえいえ」
 にっこり微笑むロット。こちらはというと機嫌がいい。ミセルバとは対照的だ。リリスをあれだけ狂わせた行為に満足感でもあるのだろう・。あれからリリスには会っていない。次の約束もはっきりとはしていない。だが誘えば今のリリスなら……
 そう思う少年。あの淫らなリリスの表情もたまらないが、それよりも違ったときめきの方が心を支配している。そう思うと心がキュッとくる……この感情。

 ――はあ〜リリスさん――

 ――はあ〜ミクとはどういう関係なの?リリス。

 二人は同時に心でため息をついていた。





 二人の騎士に囲まれて一人の男が、お城の拷問室と呼ばれている部屋に向かう。地下にある拷問室
 といっても使われた事はない。もちろん拷問としてだが。中央にいる男の名はリシュリュー。
 最近赴任したばかりの騎士長。各部屋を見回っていた。

 ――ここに来るのは初めてだな。

 ここは一般の人は入れない。ミセルバと選ばれた人間だけが自由に出入り出来るところだ。ん?扉の前には二人の別の騎士がいる。騎士がわざわざこの部屋の警護?不思議に思うのも無理はない。普通は兵士にやらせるものなのだ。
 扉に近づくと警護の騎士がつぶやく。
「リシュリュー騎士長、ここは今ガッツ団長が使われております」
 リシュリューの側にいた二人が苦笑する。

 女の……こえ……か?ふ〜ん〜なるほど……ね。

 ピンときたリシュリューは一言だけ、
「ガッツ殿にくれぐれもがんばってくださいとお伝えください」
 にこりと笑ってリシュリューと二人の騎士は皮肉まじりに去っていった。




 中ではいつものように二人の熱い抱擁が続いている。

 今日は……女……が、縛られている。

 レイカだ。立ったまま天井から吊り下げられた縄で両腕を縛られて、ガッツの激しい愛撫を受けている

 くああ!――いいいっ……そこおおっ!

 レイカの両足を抱え上げ、ペニスをねじ込むガッツ。征服感を満たすための格好のシチュエーション。
己が上だといわんばかりの自己主張。汗を流しながらも見下す目でしっかりとレイカの表情を見つめている。

 へへ……いつもながら。いいぜ……いいっ!だが……リリスなら。

 もっと……最高かあああっ!――

 叫び続ける心。未だに手に入らない極上の身体……リリスという肉体。ガッツにとっては障害があればあるほど。秘するものがあるのだ。加速装置をつけたようにペニスが激しく動き回る。両者の顔から汗が飛び散る。力づくで征服する快感。

 イク……イクぜ!

ガッツのペニスは激しく射精した。


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