小型の携帯用の張り型をゆっくりしかし確実にあそこに、服の上から刺激を伝えるように動かしている
 くるくる回す、押す、撫でる。直接当てずにゆっくりするところがまた憎い。まるで見ているのを楽しませるかのようにするからだ。

 もちろん殿下がいるとは知らない。

 っとその時扉の向こうで声がする。ピクッと反応してルビアはモノの動きを止めた。

 ――あっ、ちくしょう……つづきが。

 大事な続きが止められてしまった。

「おられませんか?」
「困りましたなあ〜ここは?」
 外で声がする。
「ここは今日よりルビア殿という方のお部屋ですよ」
「そうですか、だが一応」

 コンコンッ――

「はい、どうぞ」
「失礼します」
 鍵を掛けていたルビアが戸を開ける。

「始めまして執務長のゲーリックと申します。殿下は……いませんな」
「え、私ひとりですが」
「申し訳ない、それでは、おお〜あなたが明日から……たしか」
「はい、殿下の警護長を務める予定のルビアといいます」
「そうですか、よろしく頼みましたぞ」
 老人がメイドと二人で去っていく。


 ――ふう〜殿下はいろいろ問題起こされるみたいねえ――
 でも……やりがい、ありそうね。

 ――はあ〜でも今からだったのに、お楽しみが終わってしまった……

 ルビアもやる気が失せたようだ。筆者も残念だ。殿下も……

 ――くそ、なんで……今からなのにさ。

 怒っても仕方ない。まさか今から出て行って続きをどうぞというわけにも行かない。ルビアは後ろを振り向き彫刻などを見ている。各部屋にはちょこちょこと置いてあるのだ。お尻がまぶしい……エロチックな形がくっきりだ。

 ――ああっ、たまらないよ。

 寸止めされてしまったような気分だろう。気持ちはわかる。だが続きは結局見れなかった。





 この後殿下は別の部屋に行き、わざと見つかったこっぴどく怒られる。どうやら父上である王も待っていたらしい。外交官に挨拶を受け、その日は一日終わった。理由は外交上の特別な勉強をさせるために……らしいのだが……ならなぜ自国の外交官ではないのか?
 だが今の殿下には、そのようなことより……

 ――明日から……あの女軍人が。へたすりゃ一日中側に?
 おいおい、まともに見れるのかな……ボク。

 あの顔が忘れられない。
 エロチックな表情――
 けだるい顔。
 グラスを舐めまわす舌――

 張り型で……あれも強烈だった。

 ――はあ〜

 この日殿下は夜に二回もしてしまった。




後ろ ルビアトップ