「ルビアは最近どうなのか?」
「はい、今のところはそこそこのようです」

 リアティーナ王妃。男女同権を推し進めている女性だ。王もこの件に関してはお任せ状態。まあかかわりたくないというのが本音なのだろう。王妃の側近の一人がルビア准佐に関して、いろいろ王妃の耳に入れている。王妃のご意向でルビアを推した以上、うまくいってもらわなければ立場がないからだ。
 数日前にルビアを始めて見た。きりっとした顔立ち、精悍な姿、王妃はなかなかの人物と見ている。

「殿下のお守りは大変とは思いますが」
「ふふ、あの盗賊の組織を壊滅したというからのう、相当な人物とは私は見ている、息子のお守りはまた違うとは思うが」
 目狐を捕らえ滅ぼした事は国中に知れ渡っている。なにせ今までさんざん貴族の屋敷を襲い、王も手を焼いていたのだ。挙句のはてには、王家の城に忍び込み、金塊を盗もうとも企てていたらしい。
 その噂を聞いて王の怒りをかい本腰をいれて各地の軍人を使って、退治に乗り出した。しかしそれでも捕まらなかったのだ。それをルビアは壊滅させた。部下達を使って。
 しかし今は逆恨みを受けている

 王妃はゆくゆくは中央にルビアを幹部として迎え入れ、女性の地位向上に一役買わせようという狙いがある。そのためにもルビアには不祥事が起こっては困るのだ。
「ゼットはあまり気に入っておらぬと聞いているが」
「はい、そのようで」
「あの男もいずれは、追い出さねばならぬ、だが夫も周りの者にも信頼が厚い」
「女性の地位などないに等しいなどといっているような男でございます、いずれは王妃様の邪魔にはなるかと」
「その時は……そなたにも動いてもらわねばのう」
「はい」
 側近の女性は静かにつぶやいた。




 ――甘党……
 ルビアの代名詞でもある。コーヒーだろうが、紅茶だろうが、砂糖とクリーム等はかかせない。今日は殿下のお守りも終わりお城の部屋で、書類の整理等をしている。なにか意見書でもかいているのだろうか?だが本当に楽になった。以前はもっと肉体労働が多かったのだ。
 向こうでは、警備だけでなく、凶悪犯退治等もやっていた。走り回ることもたびたびだ。こっちでは、そういう事はもうしない。ただただ殿下の警護だけしてればいい。殿下が外出しなければその任もない。
 訓練でもして一日が終わるのだ。紅茶をゆっくりとすする。この時間は、本当にリラックス出来る。

 もちろん、仕込まれた砂糖を、たっぷり……入れたようである。定期的にメイド達は減っていないかを確認して減っていれば足すという感じだ。
 と、いうことは……混ぜ合わさなければ。下に混ざった砂糖は、クリームは残ったままの可能性が高くなる。いらぬ心配だが。そこまでは殿下も考えてはいないだろう。

 さて、今日も一日終わるなあ〜

 コンコン、

 戸を叩く音。

「失礼します」
「どうぞ」
 連絡役という職についている兵士が入ってきた。
「どうぞ、お手紙でございます」

 ――ん?これは……

 軍用手紙だ。軍人が、連絡に使う手紙。緊急性、機密性がない場合に使う簡易手紙である。

 なんだろう?差出人は――おお、あの男か?
 向こうで部下として使っていた男の一人だ。手紙の内容を読むルビア。

 ――ふ〜ん、そう、残党がね……やってくれるじゃない。でもここにいる以上そう簡単には手は出せないでしょうけど。手を出す気、あるかしら?

 ――ふふ。

 剣に手を触れ自然と力がこもる。

 ――ふう〜もうちょっと遅れるのかな。マグは……
 やはりいないとさびしいものだ、とくに……あそこも。そう思うと、自然と……また指が……。薬の効き目は即効ではないはず、だが……ああっ!
 ゆっくりと指を動かし始める。そして剣の柄をまたもや取り外した。いよいよ淫らなショーの再開である。
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