ぼろぼろの教会だ。放棄されているらしい。スラム街にある教会だからだろうか?
 さっそく馬から下りる二人。

「姉さん、教会になにかあるんですか?」
「あんたに見せたいものがあるのさ」
 ほこりだらけだ。清掃もされていない。ルビアとポポがエッチした教会とは大違い。

「アレだよ」
 ぼろぼろの教会に紋章が刻んである。二つの紋章が並んでいる。
 一つはこの教会の宗派の紋章だ。そしてもう一つ……

「あ!――アレ!――」
 叫ぶチャイナドレス娘。まさしくポポが着ていた服の紋章だった。

「やっぱり……ね」
 思ったとおりだった。すると仲間もやってきた。面白そうなので追いかけてきたらしい。
「アレよ、アレアレ!――」
 仲間にもあの紋章だよって指をさす。天使の翼を広げている紋章だ。これは王家の証でもある。教会には必ず教会の紋章と一緒に掲げてあるのだ。

「え〜アレってさあ〜」
 知っている仲間が気づいたらしい。知っているのが普通なのだが。

「ふ〜ん……これは面白くなってきたね」
「あ、あの〜コレなんの……」
 チャイナドレス娘はまだ気づかない。
「これは王家の紋章だよ」
「ええ!――じゃあ、あのガキもしかして!」
「そう、皇太子ポポ殿下さ」
 にこっと笑うアイリーン。みな驚く。が、遊び人少女だけは、気に入らないらしいが。

「あのガキが皇太子? ほんとですか?」
「顔はみたことないけど、間違いなさそうだね。それにルビアという軍人がいるなら確率は高いと思うけど」
「でも軍人がいるからって……」
 まだ認めたくないらしい遊び人少女。
「だったら調べてみようじゃないか」
「え?」
 にやっと笑うリーダー。

「本物かどうかさ……それに、以前の目狐退治のルビアがいることが気になるんだよ。さらに皇太子に今回の財宝の事件……おもしろそうじゃないか」
「私、皇太子に会ってみたい〜」
 どうやら皇太子という地位に興味津々の娘がいるようだ。

「ガキよガキ、たいしたことないって」
「かわいかったけどね、わたし的にはさ」
 チャイナドレス娘は気に入っているらしい。

「よし、決めたよ。次の仕事は置いといて、いろいろと調べてくれないか?」
「はあ〜でも姉さん、調べてどうするの?」
 別の娘が聞いてくる。
「ちょっと面白いことになりそうなんでね」
 何か考えがあるようだ。

 ――うまくいけば……あいつらもっと苦しめることができそうだし。
 今の目狐には正直崩壊してほしいアイリーン。乗っ取られたという悔しさがあるらしい。

「このラルクルには以前手を組んだ連中も結構いる。その筋から聞き出してみよう」
「OK! 面白そう!――」
 今のところお金はいっぱいあるので、ひもじい思いはない。こちらの方が面白そうと思った娘たち。
 なにより殿下に会えるというのが興味あるようだ。

「え〜あのガキまた探すの〜?」
 遊び人少女が不満を漏らす。
「仕返ししたいんだろ? だったら協力しな」
 諭すアイリーン。
「あ、捕まえちゃうの?」
「それは状況しだいさ。さ、帰って作戦練るよ」
 アイリーンが動き出した。

 ――うまく利用すれば、目狐をもっと弱体化させれる。

 これが女盗賊リーダーの目的である。



 もう夕方だ。あいさつ周りがやっと終わったルビア。

 大変だったのだ。ラルクルの地方軍のトップに会っていきなりポポのことを説明。
 当然びっくりされた。それからラルクルの御領主に挨拶。今後のポポのことで対応を話し合い。

 結果、御領主のはからいで、しばらくはお城で過ごすことになった。当然お守り役はルビア。
 警護役を兼任していたからある意味妥当なのだが……

 ――冗談じゃないわ、これじゃ、身動き取れないじゃない。

 殿下の世話しながら盗賊捜索なんて出来やしない。

「困ったわ……」
 本来の任務がおろそかになるのは痛い。しかし、ほったらかすわけにもいかない。本当は別の者にさせたがったか、ポポはすぐにルビアは警護役も兼任していると御領主にアドバイス。そう言われたら誰も言い返せない。当分はポポの警護役中心にされてしまった。

 ただ、使いの使者は早速王都へ走っている。いずれはポポは戻される予定だが。

 与えられた部屋でくつろぐというか、苦しむ女軍人。この後はささやかなパーティが予定されている。 本来、殿下がきたのだから、街中で歓迎するのがならわしだ。しかし、今回はお忍びということになり、御領主の親族や関係者だけにポポのことを話すことになったようだ。

「疲れた……」
 少年に振り回されっぱなしのルビア。この先どうなることやら。

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