シーツに包まれてじっとしていたポポがゆっくりとベッドから降りる。そしてなにやら側の書斎の奥から奇妙なモノを取り出した。
「面白くないからこれで遊ぶよ」
 ゆさゆさとその筒状のモノを振る殿下。ロケット花火に使うようなものだ。かなり激しく振っている。
 
 すると……。

モクモク、モクモク……。

煙があっという間に充満する。その量は半端じゃない。
「ごほっ!ごほっ!な、なんだ?」
 びっくりするクライシス。
「殿下!」
 ルビアはとうにお見通しだ。しかしさすがは殿下、いち早く窓から脱出した。例のらせん状の道をスルスルと降りていく。ルビアが後を追う。他の三人はひるんでいる。まさかいきなりこんな事になるとは思ってもいない。

「殿下!」
 ルビアがお城の庭に出る。ここまではメイドたちにもわかる。問題はここからだ。辺りを見回すルビア。ルビアはポポを探し始めた。










 ――ハアハア、ハアハア。
 もうこのくらいでいいかな。
 
 草むらに隠れていたポポ。ここはお城の庭の端だ。庭といってもものすごく広い。公園の広場のようなところが至る場所に存在している。こうなると一人の少年を見つけるのはむずかしい。まして草むらは放置されていて、手入れをされていないところがある。子供の背の高さほどのところもあるのだ。いつものようにポポは隠し入り口に向かう。でも今日は慎重だった。

 ――見つかったら大変だ。

 今までならメイドが相手だった。わからなくなったらもう放置状態にされていたのだ。お城の中なら安全という感覚がある、それにいちいち相手にしていたらメイドたちも仕事が出来ない。だが今日の相手はルビアとその他三人。軍人と外交官だ。外交官はどうでもいいかもしれないが。
 慎重に秘密の入り口に向かうポポ。誰も見ていない事を確認しながら例の場所に向かった。その場所は……墓場の奥の小屋だ。ぼろぼろの小屋でその中の倉庫に入り口がある。倉庫の扉を開ける。
 汚いところだ。もう誰も使っていないような場所。そこに暖炉がある。その中に入り口があるのだ。よく見ると暖炉の奥は……。なにか隙間のようなモノがある。そこに鉄のヘラ状のモノを差込み左右にちょっと力を入れて振った。すると……。

 暖炉のレンガが左右に動く。なるほど、こうなっているらしい。秘密の扉の大きさは子供ならちょっとかがんで入れる大きさ、大人なら這い這いで十分もぐりこめる。殿下がいつものように洞穴に入る。そして後ろを振り向き入り口を閉めようとした時!

 ――あっ!

 …………。

 ――ど、どうして……?

 そこにはルビアの覗き込んだ顔があった。


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