ラゼを除く、王族達の光の玉が、襲い掛かっていく! 
 みな、かなり疲れている。ものすごい精神力が必要なのだ。

 一方のサルンは必死に身を守っている。

「うわああああああああっ!――――」
 叫ぶマレイアス。このままじゃ自分も巻き添えだ! 今度はさっきよりもさらに大きい玉が上空にある。この一撃でサルンを徹底的に弱らせ、とどめを刺すつもりだ。

 マレイアスもサルンも爆音とともに埋まっていく……
 あたり一面が真っ白に光る!――


 ――やったか?

 光と爆音で包まれたマレイアスとサルン。

 しかし……


 彼らは生きていた……

「あっ……」
 カプセルの中の自分の身体を見る女騎士。無事だ。
 しかし……それは……

「やってくれた……よくも……ふふふ」
 傷を負っている美少年。不適に笑った。薄暗い煙に包まれて。

「な、なんてやつ……」
 ラブゼンたちの体力は今の一撃でもうない。30人近くの集中攻撃をたった一人で耐えれるサルン。


 これが未来のダークエルフの王の力である。

「ラゼはさすがだね。エルディーニ、君が惚れているだけはある」
「あ、兄上……」
「だが、目障りだ。当分の間君達には消えてもらおう」
 そう言うと再び光の玉を天に作る!

 巨大な玉がサルンのはるか上空にあらわれた……

「し、信じられん……あれだけ消耗してまだ、あんなものを……作れるというのか?」
 王族達はもう限界だ。対してサルンは軽く汗をかいているだけ。

「な、なんてこと……」
 マレイアスも呆然としている。化け物のような強さのサルン。

「今度来る時は、父上と、僕を幽閉した王族をつれて来い……やつざきにしてやる」
「サルディーニ兄上!」
「消えろ!――――」


 巨大な火の玉が上空から一気に地上へ向かって堕ちる!――

 一瞬の間のあと、爆発音があたり一斉にひびく! そしてすさまじい光の衝撃と爆音が核爆発のように広がっていく!


「うわあああああああああっ!!――」
「きゃああああああああっ!!――――」
 王族の男女が吹き飛ばされていく! もはやカプセルで身を守ることだけしか、残っていない体力。
 すさまじい爆風と衝撃に身体は宙に浮いてはじけ飛んだ!

 相当な衝撃だ。はるかjかなたに飛ばされたようだ。


「あはは……あははははははははっ!――――」
 高らかと笑うサルン。汗はだくだくだが、まだまだ体力、精神力は残っている。もはやこの少年の力は半端じゃない!

「くそっ……」
 無理やり后にされた女騎士のはがゆい声。それをチラッと無理やり夫になった少年が見る。

「わが后よ、どうだい?」
「…………」
 サッと目をそらす。馬鹿馬鹿しくて言い返すのも嫌なようだ。
「つれないなあ〜」
 余裕の返事だ。すると、戦乙女が目に付いた。倒れていた乙女は、ゆっくりと立ち上がっていく。

「まだやるのか?」
 満身創痍だ。一人ではもう無理だ。
 それでも雷の力が、残っている水晶と剣をよろよろの状態で掲げる。

 だが、それより先にサルンは行動した。また上空に火の玉を作ったのだ。吹き飛ばすつもりか?

 それを見て驚く戦乙女。

 ――そ、そんな……
 信じられない体力と精神の力。まだアレを作ることができるの? という表情だ。
 サルンの強大な力はもう誰も止められない。次の瞬間火の玉は戦乙女に向かっていった……
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