それでもがんばって読む二人。読みながら、ページの端などを細かいところまでチェックする。
 しかし、ただただ駄文だ続くばかりだ。うんこの話題や、恋愛の話題、金のことや、女のこと……

 うんざりしていると、妙な文がある……

 途中でつじつまの合わない文章がいきなり挿入されている。 内容はこうだ。



 いとしいいとしいうんこちゃん。
 今日ももりっぱに育っているね。君はなんて愛らしいんだ。その匂い、美しさには狂気さえ感じるよ。
 ああ、すばらしきかなこの世界。
 ああ、すばらしきかなこの魅力。

 僕は、この魅力に、真実は神聖石碑にあり、はまってる。虜になるんだこのうんこ。

 


 真実は神聖石碑にあり?

「これだわ! これがヒントよきっと」
 叫ぶミレーユ。うんこにはうんざりだが。

 ちょうどこの巻の50ページあたり。他のページも嫌々読むが、特別にはないようだった。もともと妙な文章の日記だが、確かにここだけ文面が変だ。


「で、でしょうね……」
 すごいインパクトのある日記だった。もう、これ以上のうんこ日記は、読む事はないだろう。絶対に。

「でも、石碑って……」
「おそらく、歴代領主の墓の神聖石碑のことだわ」
「神聖石碑?」
 神聖石碑とは、自治区の領主が代々眠っている墓にある石碑のことだ。

「じゃあ、その石碑に何かが書いてあると……」
「そうね」
「いきましょう」
「だめよ」
 制止するミレーユ。戸惑うエルディーニ。
「そこは葬儀のとき等を除いて、領主以外は入れないしきたりなの」
「ええ? で、でも……」
 するとクスッと笑うミレーユ姉さん。

「でもね、あなたが言う事聞いてくれれば……考えてあげてもいいわね」
 始まった……お姉さんの色気攻撃が。
「あ、あの……」
 やさしく下半身を撫でられる王子様。
「さ、しましょうね」
 にこっと笑ってミレーユは、またペニスをくわえ込んだ……




「いえ、絶対に他の者は入れてはいけないとのことです」
 きっぱりと言う衛兵たち。そして側近の少年たち。

 困っているのは、残されたダークエルフ王族たちだ。ラブゼンも少しイライラ気味。もう、何時間も待たされている。
「仕方ない……」
 これが自治区でなければ、強引にいけるのだが……いかに王族であっても、領主の許可なく勝手なことをすると非常にまずいのである。

「お暇でしたら、それなりのご用意はいたしますが」
「いや、待つよ」

 ――待つしかない。揉め事は嫌だしな。
 ラブゼンとしては、ことがどうなっているかを知りたい。

 さらに彼らは待つ事になった。
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