すさまじい勢いで走るリリスとミクを乗せた馬車。

 ミセルバ様のお城とは全く反対方向に向かっている……
 馬に乗って横にいる大勢の男達も一緒だ。

 みなある一直線に向かって走っている。馬の蹴った足跡、馬車の車輪の跡……


 その先には……

 


 屋敷がある。




 屋敷といってもかなりの大きさだ。広さ的には東京ドーム並だ。その方向にまっしぐらに向かっている馬車と馬達……

 

 門が見えてきた……

 
 黒い門だ真っ黒に見える、まるで城門のようだ……


 そこに滑り込むように馬車と黒服を乗せた馬達が入っていく……
 獲物はゆっくりと門の奥に向かっていった……







「騎士長!」
 騎士たちが叫ぶ!

「騎士長殿!」
「う……う〜ん」
 絡まれていた網を外してもらったリシュリュー。ふがいない、ふがいないと思っている。

「大丈夫ですか?」
「……ああ……」
 無念といった様子のリシュリューだ。あばれているうちに頭を少し打ったようである、
 脳震盪のような状態になっている。


 しかし……

「お前達、足跡を追うぞ!」
 すぐさま立ち上がり捜査を開始する。
「は、はい」
 再び馬に乗り、手がかりである馬の足跡と馬車の後を追う……


 走るリシューリューと騎士たち、このままでは帰れない……
 このままでは……

 騎士としてのプライドとアウグス家の馬車を奪われたという屈辱。
 馬のたずなをグッと握り締めてリシュリューたちは足跡を追った……


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