再び


 二人が着替え場から出てくると、なんとそこにリリスを含めたメイド達がいる。どうやらお楽しみが終わるのを待っていたらしい……。まあ当然といえば、当然だが。
 ミセルバは一瞬躊躇したが、
「今日の事…他言無用じゃ、良いな」
 口調はきびしい、いつものやさしさはない。

「はい、心得ております」
「うむ、そなたたちはもう下がっても良い。ミクと話があるでの」
 こういう言い方も珍しい、いつもは使わない言葉使いである。
「わかりました」
 軽く一礼して4人のメイド達は歩き去っていく。彼女らが視界から消えたことを確認してからミセルバは言った。

「とにかく、今後の事を話しましょう」
「あ、は、はい」
 あまりミクは深刻には考えていないようだ。
 
 そりゃそうだろう……。

 二人は静かに、ミセルバの寝室へと向かっていった。




「はあ〜もうドキドキもんだよ」
 誰もいない事を確認してからふう〜とため息をつくライザ

「すごいですねえ、メイドと御領主様の禁断の関係…いいなあ」
「なにがいいものか、興味もない」
「あら?じっと食い入るように見ていましたよ、先生」
「…」
 クスクスとゼラが笑う。

 ――とにかく……今日は疲れた……いろいろありすぎ、はあ〜。

「帰ろう、ゼラ疲れた」
「はいせんせ〜い」
 にこにこ顔のゼラであった。



 ミセルバは寝室の扉に護衛としている兵士二人に席を外させ、ミクにコーヒーを作るように指示した。
熱いコーヒーをすするミセルバ・・これからの事を考えているのだろう。ミクはベッドのシーツを整えている。顔には笑みがこぼれ、幸せそうだ。ミセルバはそれを見ながら、じっと考えていた。

 するとクルッとミクが振り向き、
「気になさらないでください。私はいじめられたりしませんよ」

「…………」

 どうやらミセルバの心配する事が理解でき始めたようだ。
「本当に?」
「はい」
 にっこり微笑むミク。

 今は、いいかもしれない……けど。ふう〜。緊張していたミセルバだったがすこし気が緩んだようだ。
肩のこわばりが消えていく。そこへミクがミセルバの肩に手をやった。コーヒーを飲むとき、肩を揉むのはメイドの役目である。

 ミセルバはまだ考えている。これから……どうするか。

 だがいい方法は浮かばない……まさか今日のメイド達をこんなことで辞めさせるにもいかない。すると……。

 ミクが耳から首筋をまた撫で始めた。

 どうやら、また想いがまた募ってきたようだ。そして、消えかけていたミセルバの官能の炎が再び燃え始めたのである。
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