ガッツ |
ふう〜やっぱり駄目。あれだけは……。 リリスは、アイラたちが楽しんでいる部屋の前の休憩室のような所で座っている。ここは待合室みたいな所だ。部屋を借りる時に、一杯で開いていない時に使う。だがここの遊戯宿の部屋数はすごいのでいつもガラガラだ。他の遊戯宿に比べて数倍の部屋がある。かなり儲かっているのだろう。 リリスが浣腸で楽しむのが駄目なのには理由がある。昔徹底的に、ある女に仕込まれたからだ。ほぼ虐待状態で……。 だからその嫌な思いでが蘇るため、見たくないという感情が生まれる。マイカは同意の上だが。 私の場合は……クッ……。 はらわたが煮えくり返るような気持ちで一瞬にして心の中がいっぱいになる。 「よう〜リリス、リリスじゃねえか」 ふっとリリスが振り向く。そこには二人の男がいた。一人はガッツ、そしてもう一人はアイラの父グラハムだった。 「どうも、グラハムさんいつもお世話になってます」 と言ってリリスがにこっと笑う。 「おおっ、どうしたのリリス珍しい、こんなところに一人で……いつも娘と一緒に楽しんでいると思ってたのに」 大柄な男が半分酔ったような声でしゃべる。 「いえ、ちょっとね」 再びにっこり笑うリリス。グラハムは裏の世界の人間だ。が、筋が通らない事が大嫌いな人間でもあるだからこそ信頼され付いてくる者も多い。だがこの男もリリスとアイラが、他の女性を同意かどうかは別としてどうこうしているのは知っていたが、リリスの指奴隷にアイラがなっている事までは知らない。 それにしても娘が他の女性を……なんて噂でも立てば普通は父親なら、そんな事は許さんという事が多いのが普通ではないだろうか? 少なくとも現代の日本ではそう言う方が多いと思う。だがこの時代のこの国では事情がちと違う。 他の国でも同性愛が御法度の所はある。しかしこの国に関しては宗教上寛容という立場を取っているのだ。だが話せば長くなるのでここでは割合させて頂く。 加えて権力者や、金持ちの夫妻というのは乱れに乱れきっている。ほとんどが愛人を持つのは普通になっているのだ。グラハムの亡くなった妻も愛人がいた。 「よう〜おれには挨拶なしか?」 グラハムの前にズイっと大きな態度でふんぞり返った男が言った。 「いつもあってるでしょ、今日も会ったわよね。不思議と……何回も。待ち伏せ?」 「ケッ、そんな言い方はないだろうが」 どうやらこちらは本当に酔っているようだ。 「では、少々お待ちください、ガッツ様。今からご用意致しますので」 「俺はこれがいいなあ〜」 となんとガッツはリリスを指差した。 「ははっ、申し訳ありませんがリリスはお客様ですから」 「そうかい、ははは」 にやにやしながらガッツは笑う。 ――いやらしい男、なにが騎士団長よ。親の金の力でなったくせに。 「あん?なんだあリリス、その反抗的な態度は?」 「別に」 「お前、この俺様をなんだと思ってる」 「騎士団長よ……それも最低の」 「な、なんだと!もういっぺん言ってみろや!」 怒り狂うガッツ。 「自分の思いどうりにならなかったらすぐ怒る。典型的な単細胞タイプね」 「き、貴様あああ」 グイっととリリスの胸元を掴むガッツ。 「いらっしゃいませ〜」 女が一人入ってきた。年は……そう、30前後ぐらいだろう。 「ガッツ様こちらでよろしいですかな?」 この場の雰囲気を和ませるかのような声でグラハムが言う。 「おお、こいつは素直そうだな、こっちの女とは大違いだ」 どうやら好みだったのだろう。怒りは消えたようだ。 「ではごゆっくりお楽しみください」 「おう」 ガッツは女を引き連れて奥の部屋へと消えていった。 そしてグラハムがクルッと振り向いてリリスを見る。 「気が強いねえリリス」 「ええ、いつもの事よ、ところであの男よく来るの?」 「たまにだけどね、なにせ30前後がお気に入りだろう?うちは若い娘ばかりだしなあ〜もうちょっと年齢下げてくれたらお得意様なのだが」 ハハハ、と笑いながらグラハムも部屋から出て行った。 ――そういやあいつ25歳以上が適齢期とか。勝手なものね、ああやだ、私ももうすぐじゃない。あのばばあで満足してりゃいいのに。さ〜てちょっと覗きに戻るかな。 リリスはアイラ達が楽しんでいる部屋へと向かっていった。 |
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