夜の地下牢


 その日の寝静まった夜。一人の女性が、なにやら真剣に本を読みふけっている。目はギンギンだ。見たこともしたこともない世界がそこには書いてある。その本の名前はSとMの解体新書。
 昼間リリス達が見つけた、SMの手引き書だ。もちろんミセルバはこれが発禁になった事も、貴族に対して敵意むき出しの文章が書いてある事も承知のうえだ。興味本位で読み始めたのだが、確かに貴族の男や女が淫らな羞恥心を嬲られる事のようなことが書いてはある。
 しかしミセルバはそのことよりもこのイラスト入りの被虐の行為について書いてあることに興味を持っていた。

 ――はあ〜すごいわね。想像以上。

 ムチ……三角木馬、羞恥放尿、そして……マイカの好きな排泄行為まで。

 信じられない行為の詳細が、貴族の男女を参考にして書かれている。いかに身分の高い女や男を、奈落の底に堕とす方法とか、苦しんでいる時に浴びせてやる罵声の言葉の一例などが克明に記されているのだ。
 ミクを待っている間この部屋の机の上になにげなく置いてあったのを見たのがきっかけであった。

 でもこんなことされたいとは普通思わないわね。

 まあ普通はそうだろう。最初はビックリすることばかりで丹念に読んでいた。が、その内少し面倒になってパラパラとめくり始めた時、

 っと……そこに……。

 ――穴の……支配?――

 という興味をそそる言葉が目に付いた。めくってしまったページを元に戻してその言葉を捜すミセルバ。

 あった……穴を支配……される――喜び?

 ――どういことかしら?
 そこには短いショートストーリーが添えてある。話の内容はこうだ。ある地方の役人の長官の妻が奴隷の反乱によって陵辱されるという物語だ。




「いや、やめて」
「へへへ……今までの礼をたっぷりその穴にぶち込んでやるぜ!」
 男は大きな張り型を取り出した。先が亀頭のような形をしており、その周りにイボが密集している。

「これをたっぷりと塗ってだなあ〜」
 なにやらどろどろした黄色い液体を亀頭のような形のモノに塗っている。

「へへへ、これで穴を塞がれて悶えまくりな」
「な、なにをするの・・」
「えっ、たまらなくしてやるのよ。それとも、俺様のモノを今すぐ受け入れるか?この淫らな穴によう〜」
「い、嫌よ!」
「け!だったらこいつで悶えさせてやるぜ!」

 男は、パックリと開いた秘裂に張り型をこじ入れる。
「いや!あうう」
 強引にモノが花園の奥に侵入する。ずっぽりとモノは根元まで入り込んでしまった。
「へへへ、そら」
 穴の奥に入り込んでいったモノを落とさないようにだろうか?その下からなにやら黒光するレザー状のパンツの形をした物体を履かせ始めた。

 どうやら貞操帯らしい。

「いや……やめて」
「へへ、一時もすればお願い入れてと哀願してくるぜ」

「い、いやあああっ!」

部屋中に絶望と恐怖の声が響き渡って行った。

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