――今日はいろいろありすぎ……

 ベッドの上でそっと寝転ぶミセルバ様。寂しそうである。もう何日もオナニーをしていない。はっきりいってそれどころではない。

 ――やっぱり……シミリアンの言うことが本当なら……リリパット本人以外には考えられない。

 シミリアンから聞いた言葉は衝撃だった。最初から付け狙われていたのだ。なぜかまではわからないが。

 ――わたしはどうすればいいのかしら?

 困る、困るミセルバ。そして悔しい!プルッと頭を震わせて考える。

 でも、考えるほどなおさら困る。
 ここ最近寝酒をしている。よく飲むようになった。それだけストレスが溜まっているのだ。正直、こんなひどいことをした人間をとっちめてやりたいミセルバ様。だが、相手が相手だけに困っている。

 ――辛い……辛いわ……

 誠実でまっすぐでもあるミセルバ様はプルプルと胸を揺らしながら嘆く。しかし、捜査さえ気軽に出来ないというのが現状だった。本気でやれば結果がどうなるかもわからない。お父上からは、もし後を継いだならうまくやるようにと言われていた。いずれはいろいろ動かないといけない時がくるとも思ってはいたのだが。

 ため息をつく女領主。

 眠れない女領主。

 快楽に没頭できない女領主。

 オナれない女領主……

 ミセルバは今どん底にあった。



 ミセルバが眠れない、オナニーできない夜をすごしている時……

 こちらではハーレムが続いている。
「どう? お姉さま?」
「あっ……そこ、そこいい……」
「うふふ……ここ?」
 にこりと微笑むエンヤ。相手はもちろんマイカだ。

「もう〜すごい〜」
 ぐっしょりと濡れたあそこをまじまじと見つめる。いつの間にか意気投合しているようだ。今ではエンヤが、主導でマイカを楽しませているらしい。
 と、そういうことを楽しくやっている部屋から出て別の部屋に行くと、こちらでは……


 アイラがなにやら考え込んでいる。周りには妖しいレズ行為にふけっている仲間がわんさかといるようだ。もちろんあのモーラもいる。

 ――あ〜あ……結局全部話しちゃった……

 モーラはすべて知っていることは話した。聞くやいなやさすがのアーチェ様もびっくりだった。いつもは冷静な遊び人少女も、今回の話は到底驚くことばかりだったのだ。

 ――すごい表情してたわね。

 あれからこれ以上は誰にも漏らしてはいけないと言われたモーラ。どうやらアーチェ様はひそかに調べるらしい。ミセルバ様は、対応に困り、アーチェ様は動き出す……

 

 これからどうなっていくのだろうか?


 ――はあ〜でも私ってさあ〜なんでこんなにすぐ……あっ!

 反省しきりのモーラだが、しっかりと貰うものはもらったらしい。

 ボーっとしていると相手のレズ女が敏感な箇所を探ってきた。思わずのけぞるモーラ。その様子をボーっとして見ているもう一人の女。

 (連れ去られた……それから……)

 アイラはちょっとふさぎこんでいる。さすがに連れ去られたということが、ずっしり印象に残っているのだ。だが、そのあと何があったのかは、ミセルバ様とミク、リリス当人しかしらない。
 あとは憶測である。

 (あ〜いや! そういうこと聞くんじゃなかった……)

 面白がって聞いて、結局ふさぎこんでしまったアイラ。さらわれたとなればただでは済んでいないと当然考える……ミクとリリスにちょっと嫌なイメージを持っていたアイラだが、いっぺんに吹っ飛んでしまったようだ。

 今日はちっとも楽しくない。

 そこへ意外な訪問者がやってきた。

「こんばんは〜」
 おそるおそるこの状況を見る女医さん。
「あ、あれ〜?」
 驚くアイラ。

 まさか……

 ここでミルミに会うとは。

「どうも……あいかわらずすごいわね」
 レズの饗宴を見せられたらだれだって驚く。
「ど、どうしたの?」
「レリって子いる?」
 レリとはこの間、ミルミの実験台になった娘だ。どうやらその子に用があるらしい。しかし、わざわざここまで来るとはと思っていないアイラ。

 アイラとミルミはお友達だ。といってもものすごい緊密というわけでもない。
 向こうは医学博士で女医、こちらは裏の世界の実力者の娘。まったく立場が違う二人。
 しかし出会う共通点がある。それは実験台になってくれる娘や男を捜すとき、どうしてもこういうことは裏の世界の人間の方が都合がいい。そうじゃないと表で堂々とお金出すから実験台になってくださいといって、なってくれるような人はまずいないのだ。

「うん、いるよ、あっち」
 アイラが指差した方向にはあのおどけた娘がいた。
「ちょっと、尋ねたいことがあるから……いいかな?」
「ナニナニ? 手篭めにしようっての?」
「ち、違うわよ!」
 思いっきり否定するミルミ。私はレズじゃない! ときっぱりと否定したいようだ。

「レリ〜 女医さんが呼んでるわよ〜」
 アイラがレリという娘を呼ぶ。

 ――は、はやく……逃げなきゃ。

 この世界から一刻も早く抜け出したいミルミ。透明な服を着て、裸のままレリという子がにこにこと近づいてきた。
「あ〜ミルミさんだあ〜」
「……ちょっと……きて」
「ん〜?」
 どうやらちょっと飲んでいるようだ、この娘は。いそいそと服を着て部屋を出るミルミとレリ。

 (なにかしら? あ〜もしかして……)

 アイラの予測は当たっていた。
後ろ ミセルバMトップ