「ではレイカ、あなたはシスアを推挙したいと言うのですね」 「はい」 「その理由は?」 椅子に腰掛けているミセルバが横にいるレイカに尋ねる。 「理由は、シスアの方が人をまとめる力があるからだと思いますので」 「そう〜分かったわ、メイド長の意見として心に留めておくわね」 「はい、よろしくお願いします」 ミセルバとしては納得が行かない。レイカがリリスを嫌っていたのは知っている。だが、今まで何回かこの事について話をした時は、必ずリリスを推していたのだ。例え馬が合わなくとも適正な地位を適正な人材に与える。それがレイカの考え方でもあったはず。それが今回聞いてみるとシスアが適任だと言う。 ――やっぱり……なにかあるわね。どういうことかしら。 ミセルバはレイカにシスアと後数名を呼ぶように言った。リリスと同格扱いされている4名ほどだ。それぞれ話を聞くためである。 だが……リリスだけは。今日は呼ばないつもりらしい。 やはり今は面と向かって顔を突き合わせたくないのかも知れない。突然の老人たちの趣旨変え……レイカのシスアの評価。ますます疑問が沸いてくるミセルバ。悩み事が一気に増える。 はあ〜憂鬱―― 次長を決めやすくなったのは良いのだが、新たに疑問と戸惑いが増えるミセルバ。 「お呼びでしょうか?」 4人の女性が入ってきた。ミセルバがメイドたちに向かって言葉を述べる。 「あなたたちの中で近々メイドの次長を正式に選ぶつもりです。そのつもりでいなさい」 「え?」 メイドの一人が目を丸くする。 「わかりましたね」 「はい」 シスアが軽く答えた。その返事に対してミセルバがシスアを見る。他のメイド次長候補はみな驚いている。まさかなぜ急に……といったところだろう。 ――シスアは冷静ね。これはなにかあったわね。でも…… 当たり前だが決めるのはミセルバだ。だが、なんか引っかかる……ミセルバにも変とはわかる。それを見せ付けられている。最近はミクの愛撫やリリスのこと等、色事ばかりに目がいっていたが。まるでわざと見せ付けられているような……。 ミセルバはそう思いながらも各々にメイドの心構え等を質問していった。 |
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