冷静にゆっくりと歩いていくポポ。顔だけを残して後は黒マントで覆われている。いつものかわいい顔が、今は真剣だ。キョロキョロと辺りを見回す。もうすぐゴールが近づく。

 ――ここだ。

 地図にある倉庫に近づいた。もう一度周りを見る。
 ゆっくりとドアを開けた。

「あっ……」
 そこにはアイリーンがいた! 

 椅子に座ってにっこり微笑んでいる。腰には剣をつけて。後ろには数人に娘達もいる。
「初めまして、ポポ殿下」
「だれだ! お前!」
 叫ぶポポ。
「私の名はアイリーン、以後お見知りおきを」
「アイリーン?」
 じっと盗賊娘のリーダーを見るポポ。グッとにらみつける。足を組んで独特の威圧感を与えるアイリーン。それにしても太ももがエロィ。

「情報を言え!――」
 アイリーンの威圧感に負けないように叫ぶ。どうせこんなこととはわかっていたからだ。するとアイリーンが立ち上がった。構えるポポ。黒マントに覆われたポッケに手を忍び込ませる。

「…………」
 ちょっと考えるアイリーン。

 ――なるほど……用意するモノは持ってきているってわけか。

 さらにゆっくりと近づく。
「近づくな!――」
 ポポがもう一度叫んだ。それでもじりじりと近づくアイリーン。さらににらむポポ。それを見て笑うアイリーン。

 ポポの眉がピクッと動いた!

 さっと短剣を出す!――

「お〜お、怖いもの持っているのね、近頃の皇太子様は」
「動くな!――」
 短剣をちらつかせながら、威圧する。しかし、ちっとも怖くない。さらに近づくアイリーン。

「くるな!――――」
 平気で近づいてくるアイリーンにちょっとびびる。しかも無防備だ。ポポがあせってきた。
 さらに短剣を突き出す。しかしまったく引き下がらないアイリーン。そしてゆっくりと剣に手をかけようとする。じっとそれを見るポポ。アイリーンもポポをじっと見ている。

「殿下、後ろ! 後ろ!」
 アイリーンがわざとらしく叫ぶ!
「だまされないぞ!」
 後ろに振り向いた瞬間襲うに決まっているからだ。逆に必死に前を見る。

 そこを意外な物が突いてきた!――


 ――あっ……ピンク……

 目の前にピンクのショーツがいきなりあらわれたのだ!――
 アイリーンがスカートを思いっきりめくってみせつけている!

 一瞬、一瞬である! ショーツに目が行ってしまった。


「げふうううっ!――――」
 短剣を離さずにはいられない、おなかへの強烈な衝撃!――

 ポポは倒れた……もう終わってしまった。

「あっけないわね〜」
 ポポのおなかにきつい一発をぶち込んだ娘が笑っている。
「おい、注射打ってやんな」
「はいはいです〜」
 これでポポはもう動けない。いったい何しに来たのだろうか?

「さ〜て……今度はルビアだ。次は簡単じゃないよ、いいね!」
 気を引き締めよというアイリーンの声。
「あの〜あれを使うのですか?」
「おお、そうそう、あの矢を使ってみよう。新入りにも実戦させな」
「はいです〜」
 うれしそうにいう部下の一人。

「でも相手は軍人でしょ? 怖いなあ〜」
「だいじょぶ、だいじょぶ。危なくなったら逃げればいいのよ」
 他の娘達は結構実戦なれしているようだ。いつも修羅場をくぐっているのだろう。盗賊家業だから当たり前といえば、当たり前だが。

 娘達は次の準備に取り掛かった。
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