あっけない、騎士と軍人達。両端を土壁に囲まれている場所は、明らかに上からの攻撃は有利だ。
 なんとか立っている者もいることはいるが、戦力にはならない。

「行こうか、ずらかるよ」
 圧倒的な勝利だった。修羅場を駆け巡っている盗賊娘たちと、やわな訓練をしている者との違いが出ている。

 で、帰ろうとした時だ、

「きゃあああっ!――」
 いきなり剣が一人の娘に向かってきた!

 間一髪で交わした娘。だが、肩の部分を切られる!
 鮮血がほとばしる!

「あいたあああっ!――」
 痛みが走る! 大事な柔肌を傷つけられた!

 投げたのは……クリティーナだ。最後の力を振り絞って投げつけたようだ。

「ちょ、ちょっと!――なんてことすんのよ!――」
 肌を傷つけられて怒る娘。戦争とはそういうものなのだが。

「行くよ! 後で手当てしな!」
 急いで逃げる準備の仲間達。どうせしばらくすれば、また別の部隊が来ると思っている。その考え方は正しい。

 娘達は逃げ去って行く……

 ――くうううっ! 覚えていなさい! あの顔忘れるもんですか!――

 肌を汚された娘の怒りはすさまじい。忘れぬようにと何度もクリティーナの顔と容姿を覚えこみながら逃げるのだった。

 

 ――うう……

 ――う……ん……

 目が開いていく。女軍人の目が……
 辺りを見る。どうやら自分は立っているらしい。両腕を万歳しながらだが……

「あっ……」
 手に手錠がある。そういうことだ。周りを見るとどこかの地下室のような所だ。チラリと見渡す。
 ボロボロの部屋。
 暗い部屋、ろうそくだけの明かり……

 足元を見る。こちらも鎖つき。しかも大きな岩につながれているようだ。
 こつこつと音がする。足音だ。

「お、起きているようだね」
 アイリーンがやってきた。5人ほどの娘も一緒。
「…………」
 睨み付けるルビア。
「さて……さっきの続き、続けようか」
「…………」
「しゃべってもらわないと殿下の命はないからね」
 嫌々ながら軽くうなづくルビア。もう覚悟を決めたようだ。

「じゃあ〜お願いだけど、協力してくれないかな? 私達とさ」
「なに?」
 意外な言葉が返ってきた。
「協力だよ、協力。お互い目狐を倒すのに情報交換しましょうと言ってるのさ」
 椅子に座って微笑みながら言う。

「協力……だと?」
 盗賊と手を組めるはずもない。
「断ったら困るのよ」
「そんなこと出来るか!」
 きっちり言い返す。
「ふふ、そう言うと思った。じゃあ、殿下は……って言いたいところだけどさあ〜」
 魅力的な太ももを見せ付けてちょっと考えているアイリーン。

「見返りないと、さすがにあんたが言う気も失せるの、よくわかるのよ〜同じ女同士だし」
 妙なことを言う。
「盗賊に見返りなど貰う気はない」
「じゃあ、無理やり与えてあげるよ。徹底的にね」
 やれやれ、仕方ないという表情だ。

 すると立ち上がる。

「始めな……」
 そう言うとさっさと自分は引っ込んでしまった。

「うふふ……さあ〜気持ちのいいことしましょうね〜」
 5〜6人の娘達が近寄ってきた。

 ――な、なによ。何をするつもり?

 ゆっくりと軍服の上着を脱がしにかかる。ゾクッとするルビア。

 ――ま、まさか……

 胸のボタンが緩められる……こ、これは……

「うふふ、これからいっぱいいっぱい、私達みんなでとりこにさせてあげるわよ」
 洗面器のような物にローションがいっぱい溜めてある。

「これをまずは塗りこんであげるわ。全身くまなくね」
 ニュルっとしたローションを手で汲んで、女たちが28歳の人妻女軍人に対して快楽責めを始めたのは、それからすぐであった。
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