ルビアとポポが漫才のようなことをしている頃…… 「よし、ひっぱれや」 「へい」 馬車から宝箱を取り出す男達。ここは、と、ある洞窟の前。右に5キロ先に検閲所がある。森のような中にある洞窟。本来はそこを通って行かないといけないのだ。もちろんそんな馬鹿なことをするわけがない。 ここにある洞窟は、何ヶ月も前から見つけて用意されたものだ。穴はずっと奥に続いており、最終的に別の街へ抜けていく。そこを抜けると、いくら王の兵が動いてももうわからないだろう。ここで馬車を捨てて、宝物の山を滑車に乗せる。あとは洞窟を潜り抜けたら、向こうで仲間が待っているという手はず。 洞窟の入り口は、一人の男がはいはいしてもぐれるよりもちょっと大きい程度だ。大男のダグでぎりぎり。 しかし、そこを抜ければ立ち上がっていけるようになっている。 10キロほどある洞窟内。自然で出来ていたのを一ヶ月で通りぬけるようにしたのだ。 「しかし……こんなところがあるとは誰も思わないでしょうな」 「当たり前だ、俺達だって偶然発見したんだからな」 最初は堂々と検閲所を抜けるか、別の方法で突破していこうという作戦も考えていたのだが、この洞窟が見つかることで、ここを利用しようということになった。これはここの地形を調べていくうちに発見したのだ。 そしてこの案を考えたのが…… 「しかし姉御は本当に頭がいい」 「確かにな、昔いろいろ苦労したおかげとか言っていたな」 「へえ〜そうなんですか?」 不思議そうに男が聞く。 「ああ、なんでも泥を食ってでも生き抜いてやるって言う時期があったそうだ」 リーダーの男が言う。 「まあ、あの気の強さですからな〜」 笑いながら紐でカラカラと滑車を引っ張っていく10人ほどの男達。一番後ろにダグがいる。 「俺は気に入っている」 ポツリとダグが一言。 「惚れたのか?」 「違う! 俺は一人の人間として……」 「ま〜た始まった……」 やれやれという目で見ている男達。ダグの小言の始まりだ。 「女としてではなく、頭領として見て気に入っているというんだろ?」 毎回同じ小言を聞かされてまいっているようだ。しかし、この大男、怒らせれば怖い。怪力は相当なものなのだ。 「まあ、途中から加わった時は、少々鼻についたが……今じゃあ誰もが認める大姉御だからな」 どうやらこの盗賊たちの姉御というのは相当な器量の持ち主のようだ。信頼しているのだろう。 「お、中間点だぜ」 大きな広間のような所に出た。ここならゆっくり休憩できそうなところである。ここが中間点という目印らしい。 そして……いろいろ出来そうな……ところでもある。 その時、ダグが何かを感じた。 ………… ………………! 「!!――」 サッと振り向くダグ! しかし気づくのが遅かった! 「うわあああっ!!――――」 上空から網のようなものが、一斉に男達に絡みつく! 「な、なんだ! なんだこりゃあ!?――――」 突然の網攻撃にうろたえる男達。網には何かとりもちのようなものがついている。強力な接着剤のように引っ付く。次から次に降りかかる網攻撃! べたべたと男達の服に、顔に、身体にまとわりつくのだ。 「く、くそおおおおっ!――」 叫んだどころで何にもならない。ますます絡みつくだけだ。男たちが倒れこんだ。 だが、大男のダグだけは力で引きちぎる。 すると今度は…… 「わわっ! なんだああっ!」 ぶしゅうううううっ!―― ぶしゅうううううううううっ!―― ものすごい勢いで放水をかけられたように変な液体をかけられるダグ。ミニポンプのような物で一斉にかけられた。ダグだけではない、他の男も網の処理に戸惑っているうちに、すっかり液体まみれになっていく。 「あははははっ!――――ざまあ〜みろ!―!」 一人の女が大笑いしている。それを見てハッとするリーダーの男…… 「き、貴様! アイリーン!!――――」 あたふたしながら叫ぶリーダー! そこにはアイリーンという女と、以下二十人ほどの女たちが笑って立っていたのだ…… |
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