二人の少年が、お城の秘密の通路を前かがみになりながら歩いていく。ある期待を込めて…… この年齢は性には好奇心ありあり。ルビアの執務室に新しい薬を仕込んだ後徘徊しているラミレスとポポは、メイドたちが住み込みでいる部屋に向かう。 お城のメイドたち……一部を除いてほとんどが住み込みだ。つまりほとんどの女性が夜この城にはいるのだ。メイドの世界は女の世界そのもの。 美しい女の世界。だがどこにでも権力争いはある。メイドたちも例外ではない。ストレスも溜まるだろう その捌け口は……いろいろである。 「なあ、どっちから行こうか?」 「どっちからって?」 聞き返したラミレスが迷路の壁をコンコンと軽く叩いている。何かを確認しているようだ。これなら向こう側にも声や、物音は聞こえにくい。 ――しかし……出来ているよなあ〜 さすがはラミレス。冷静な判断で周りを見ている。いまから覗きに行くのに冷静そのもの。覗きも楽しみだが、ラミレスはこの秘密の迷路状にも興味津々だ。元はといえば納屋で洞穴を見つけたことからすべては始まった。 それに対して殿下の方は、胸がドキドキだ。なにかが……なにかが見れるはずだという想いだけで興奮状態。覗きという感覚が殿下の淫らな欲求を高ぶらせている。 「相部屋と個室に別れているんだよ、メイドたちの部屋って」 「へ〜そうなのか、まあすごい数だからな」 ラミレスはちょっと考えた後、 「なら相部屋の方から行こうか」 こういう時殿下は必ずラミレスに決めてもらう。ようは自分で決めきらない性格らしい。 二人は少し狭くなっている通路に向かった。 狭い通路を抜けるとそこから前かがみで歩いたり、這ったりして目的地へ向かう。最初に向かったのが、メイドたちの中でもまだ個室を与えてもらっていない人たちの部屋だ。 ――だいたいこの辺りがこの部屋じゃなかったかな? ポポは日頃から暇さえあればいろいろとうろうろしている。頭の中で場所を感覚的に覚えているほど。 おっ、話し声が聞こえる…… え?…… ポポには何にも聞こえない。 ――ん、なんだよ、それ? 壁に何か器具を当てて耳を澄まして聞いているラミレス。 「聴診器さ」 ラミレスがにっこり微笑む。 「なるほど」 こういうモノを事前に用意しているのがラミレス。さすがというべきか。 「ほら、これお前の分」 袋からもう一つの聴診器を渡す。二人は壁に向かって聞き耳を立て始めた。 「さあ〜ご主人様にあそこを見せなさい」 「は、はい」 メイドらしき女がメイド服のスカートを捲り上げる。これから何をされるのか、期待に胸を膨らましているかの表情だ。だがよく見るとお尻をあらわにした女の顔は気の強いタイプの女性。マゾのタイプには見えない。反対に鞭を持ちマゾのお尻を撫でている女の方は明らかにお尻をさらけ出している女より年下に見える。 「きもちいい?」 「え、ええ」 「いやらしいわねえ〜ここ」 「あ、は……はやく」 「せっかちねえ〜」 と言って鞭女は鞭の柄の方を女の花園に突っ込んだ。 ――くあああっ! 軽く声を出す尻出し女。 「おいおい、すごいぜ」 「う、うん……」 ポポもラミレスも必死になって聞いている。やはり女の園だ、いろいろな事がある。 だが、残念ながらここの部屋には覗く穴がないようだ。 んっ? どうしたのだろう?ポポがふと違和感を感じている。 そう……。 マゾ女の声に妙に聞き覚えがあるのだ。ラミレスは聞きながら辺りを見回している。やはり穴は見当たらない。 「今度、作っておこうぜ」 「そうだな」 壁一枚向こうの部屋では尻を見せている女が喘いでいる。 ――この声……どこかで。 「すごく濡れていますわ」 「も、もっと、もっとしてええっ――こ、このメルティーナのあそこをいじめて頂戴」 ――!!ええ?―― 二人が目を丸くする。 ええっ? ええっ――? そう…… まさしくあそこに鞭の柄を突っ込まれているのは殿下の姉上であられるメルティーナだったのだ。 |
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