はあ〜!はあ〜!

 走るルビア!
 走る殿下!
 だが殿下はよく前が見えない!
 殿下は煙を目に吸い込まなかったらしいが……


 ううっ、かすんできた……かろうじて見えていた殿下。が、徐々に辺りが……


 ――ドタッ!!

 ころんでしまった殿下。
「殿下!殿下!」
 後ろから黒服が迫ってきた。

 ――くそ!!――

 剣を振りかざし立ち向かうルビア。

 ――うおおおおおおっ!!――

 剣と剣がぶつかり合う。一歩まさっていたルビアが黒服を切る!

 ズバッ!!――

「ぎゃああああああっ!」
 倒れこむ黒服……だが次から次に迫ってくる!

「殿下走って!」
「う、うん!」
 どこでもいい、とにかく逃げる!――
 目がボーっとしてるけど。


 二人はまた逃避行を始めた。

 ――ラミレス――



 屋敷……

 人間、追い詰められたときよく知っている場所に自然と行くと言う。まさにこのケースが当てはまる。屋敷といっても頑丈な門があって兵士が警護しているほどではない。
 大きいことはおおきいのだが……しかしそれが二人を入りやすくしたのかもしれない。
 殿下はとっさに屋敷の中に逃げ込もうとする。
 そして殿下がまさに屋敷の玄関の扉を開けようとした時!

 ――ズゴーンッッッ!!!


 うっ、うわああっ!――

 扉が……扉が!


 鉄球に破壊された。これでは屋敷の中にはとうてい入れない。
 それも殿下の頭の上をかすめて。
 殿下の頭の大きさ以上ある大きな鉄球……ガバッ!とポポは振り向いた。

 ――ゾクッ……な、なんだ?ありゃ……

 後ろにいるルビアに大きく立ちふさがっている黒服の男がいる。これはどうみても男だろう。
 まるで……力士のような大男だ。

 ルビアの2倍はある。 ぶるぶると震える殿下。
 狙われた実感を身にしみているのだ。

 ――あっ、ああ……

「死ねやあああああ!!このアマあああああ!!」
 ドス黒い叫び声を挙げて鉄球を振りかざす大男。

 ルビアに振りかざされた鉄球が迫った!




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