すさまじい勢いをつけて、30センチほど手間で離す予定だった剣……


 だが……
 剣は……

 離れなかった……

 しっかりと剣を掴んだまま止まる触手……

 驚く、そして思い通りにならないことを憎むサルン!

「お、おお……うおおおおおおっ!――」
 触手は自分の意図を無視した。


 まるで守るかのように……

「なぜだ……なぜだよ……なぜだって……」
 涙目になるサルディーニ! その時、マレイアスが後ろを振り向き、剣を触手から奪う!

「うおおおおおおおおおおおおおっ!――――」
 そして、思いっきりペニスをぶちきった!

「ぐはあああああああっ!――――」
 一瞬顔をしかめるサルディーニ! 同時にラゼが気を振り絞ってサルンから離れる!

「あああああああああっ!――――」
 すごい勢いでサルディーニに向かっていく! これぞ女騎士という表情だ! 赤いドレスの女騎士が、憎き少年へ向かっていく!

 ひるむサルディーニ! もはた、完全に手はなくなった。その現実が少年の身体に危険だと知らせる。だが、サルディーニはすぐにその事実を受け入れられない!

 一瞬、思考が止まる……

 しかし、その時間は、マレイアスにとって、十分だった。


「あぐわああああああああっ!――――」
 右脚のつけねを突き刺された! 叫ぶ少年王!

「サルン! 覚悟!――」
「うおおおおおおおおおおおおおっ!――――」
 気を放出する! 爆風を出すサルン! マレイアスが飛ばされる! だが、マレイアスの周りの風はなぜか、弱い!

 上空に逃げるサルディーニ! 片腕、右脚不能状態のサルディーニが上空に逃げる!


「うううううっ……」
 上でにらむサルディーニ。だが、肉体は遠くに逃げる事を要求している。この期に及んでも逃げようとしない少年に対しての注意信号だ。

 怒る、にらむ、震える……


 敗北だ……そう考えるサルディーニ。とうとう、とうとう……決心した。


 逃げたくはない、しかし、これ以上は自分の身が危ない。このボロボロの状況では……
 あの女騎士に止めを刺される可能性もある。

「覚えていろ……」
 上空で悔しい気持ちを押し込めながら逃走を開始する……


 しかし……


 時すでに遅しだった。
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