制服を着たまま快楽の汗を流す三宅 ゆみ。股間の感覚はもうない。しかし、快楽だけはあるのだ。
それも……

 今度はいつまでもイケない快楽……

 ――うっ……くくっ……うん
 弱い振動と挿入感が襲う。ゆっくりゆっくりと高ぶらせていく。そして気持ちが嫌でも高ぶり、絶頂を求めると止まってしまう。

 ――いや……もう……
 焦らされるのは秘密倶楽部ではないことだった。マゾの役になって、責められることはあったのだが。始めての快感に辛さを覚える ゆみ。

 貞操帯の股間部分に手をあてる。しかし、自分で快楽をコントロールできないのだ。
 股間を手で押さえつけるが、びくともしない貞操帯。きつくベルトで縛ってあり、外すことはまず不可能。

 ――くあっ! だめ! また……
 気持ちを押さえ込もうとする ゆみだが、それができない。散々、数時間かけて連続絶頂を楽しんだ後だ。イク喜びを植えつけさせることに成功した肉体は、またほしがっている。口を噛んでイクのを防ごうとすると、とたんに強の刺激が襲い掛かるのだ。
 
 まるで自分の感情や快感が貞操帯のバイブにことごとく読まれているように……

 ――な、なんて……やり方……
 連続絶頂に苦しんでいた時には、考える暇もなかった。しかし、今度はその暇がある。
 だが、それこそ亜津子たちの思う壷。

「うふふ、考えてるわね。それが逆に辛くなるのよ」
 コンビニでおにぎりを買ってきたらしいお姉さま。さっそく調教状況を見る。
「もどかしいはずよ、ゆみは……」
 パソ娘がにやにや笑いながら言う。自分の作ったソフトはこんなに凄いということの証明ができて非常にうれしそうだ。さすがはクリエイター精神豊富の証拠。

「もっと寸止め食らわしてやって。あの調子なら堕ちるのも早そうね」
 三宅 ゆみの表情は辛そうだ。今まで多くのレズ奴隷を育ててきた三毛亜津子。

 この貞操帯は序盤の調教道具の必需品だった。



「まあ、そうなの?」
 プチ貴婦人のようなお嬢様が、にこやかに答える。麗しき気品のあるお嬢様という言葉がよく似合う。海道美知は、歴代の生徒会長の中でも、最も人気と気品があるとのこと。
 背中まで伸びたクルクル髪の毛は、貴婦人の名にふさわしい長さとスタイルを兼ね備えている。
 落ち着いた雰囲気、でも、決して相手を見下さない姿勢、気遣いのある言葉……

 どこかのわたしこそトップよ、地球は私を中心に回っているという女学生とは大違いだ。

 ――こんな化石のような人が未だにいるのね……
 勝手に化石にして、対抗しているお嬢様。つけいる隙がないというのは非常に困るのだ。

「生徒会長って大変なのですか?」
 何気なく翔子が聞く。これぐらいしか思い出せる会話がない。それほどこの海道美知は、よせつけない優雅さがある。
「そうね……」
 ちょっと考え込むプチ貴婦人。
「もうすぐ解放されるじゃない」
 横にいた三藤綺羅が微笑む。

「解放される?」
「私、次の選挙には立候補しないつもりですの」

「はあ〜」
 立候補しないらしい。

「やっと暇になるのよね」
 ちゅ〜ちゅ〜とストローでコーラを飲んでいる綺羅が言う。
「あなたは亜津子を応援するの?」
「え?」
 翔子に三毛亜津子を応援すると聞かれた。同じテニス部のキャプテンだ、他人ならそう思いたくなる。

「私は……あまり」
「うふふ、そうなの……」
 にっこり笑う。
「でも、なぜ立候補されないのです?」
 生徒会長は人気は半年。半年ごとに改選が行われるのだ。
 そして生徒会長だけは、三回生しか立候補の資格がない。

「いろいろあってね……約束なの」
「ふう〜ん」
 
 ――いろいろある……か。
 事情がいっぱい詰まっていそうだ。

「あなた……生徒会に入らない?」
「え?」
 驚く翔子。

「翔子なら興味があると思ったの」
 綺羅がさらに誘う。

 ――なるほど……お誘いですか。
 考える生意気お嬢様。

 転校前の学校は、面倒しい形だけの組織だったが、こちらは別だ。
 これなら面白いと思う翔子。

「ええ、前向きに考えても……いいかな」
「あら……うれしいわ」
 余裕の笑みで笑う生徒会長であった。

後ろ 如月トップ