生徒会長海道美知。
 学園内でも、抜群の人気がある女学生だ。一回生、二回生だけでなく同級生にも人気は高い。性格もまさに委員長や生徒会長にふさわしいらしい。
 落ち着いていて、決断力があるというタイプ。さらに、学園内一二を争う美しさとあっては誰でもあこがれるのは当然であった。

 ――さてさて……噂の生徒会長とやら……どんなレベルか楽しみだわ。
 学園内一の美しさと聞くと、黙ってはいられない翔子。世界最高の美しさを自負するお嬢様にとって、その事実は認めたくないものである。ただ、学園内と世界最高ではレベルが違うと思うのだが……

 美しい女性がいるとなんでも認めたくない性格らしい。当然、私の方が上という部分を探すのだろう。
 いや、なくてもでっちあげて私が上よと決め付けるはずだ。


 こちらも生徒会長の評判に負けないような格好で来ている。
 今日の私服は、ミニのスカートに、黒系のカーディガンに黒系のブーツ。

 派手でなく、強い決意を示すような服装だ。そのうえ、翔子の美貌でバッチリに仕上げている。喫茶店で優雅に待っている翔子お嬢様。

 そのお嬢様の元へ、三藤綺羅と……

「あっ……」
 思わず声がでた翔子。

 目の前にいる海道美知に声が出てしまった……

 ――な、なによ……

 翔子がびっくりするのも無理はない。
 雰囲気はまさに清楚、これぞ麗しい貴族のお嬢様という雰囲気だったからだ。
 ロングの巻き毛が中世ヨーロッパの雰囲気をかもしだし、ロングスカートにロングのブーツで決めている。清楚でフェミニン。それが似合う女学生海道美知。
 さすがは生徒会長にふさわしい女性だ。頼りになるという雰囲気だし、高圧的でもない。
 おしとやかでやさしそう。

 女学生でありながら、もう人生を知り尽くしたかのような表情だ。

「始めまして、如月翔子さん」
「は、はい」
 美しさには負けるはずがないと自負している翔子お嬢様。確かに美しさは勝ったと勝手に思っている。思えば勝ちである。しかし、この可憐さと清楚、フェミニンの匂いが……格の違いをみせつけるのだ。

 その他の部分では……とてもかなわないように思える。
 同じお嬢様でもこうも違うものか?

 かたや、プチ貴婦人を思わせるお嬢様。清楚なフェロモンを漂わせている生徒会長。

 対して、いけいけどんどん、私がいつもトップ、色気全開のエッチフェロモンを撒き散らしている翔子。

 策略をめぐらせても君臨してやろうとする生意気お嬢様。

 ――こ、これは……
 何かを認めてしまいそうな気になる翔子。しかし、他人を認めることは、このお嬢様には許されない。だが、敵対したくても相手はもう違う世界にいるようである。

「どうぞ、お座りになって」
「は、はい」
 おしとやかな声でそっと言われる。辺りにやさしい雰囲気がまといつく。

 立ち上がっていたナイスバディを椅子につける翔子。
 そんなナイスバディなぞ、このプチ貴婦人の前では役にも立たない。

「綺羅から聞いているわ。あなた、なかなかの人物だそうね」
「あら……」
 微笑む翔子。微笑んで対抗する。さっそく武器の一つを見せる。
 すると生徒会長が微笑み返した。


 ――で、できる……
 余裕の微笑みだ。完全に翔子の微笑を超えている。

「あなたのこと、いろいろ聞きたいの」
「は、はい」
 どうやら生徒会長様は、翔子お嬢様に興味を持ったらしい。

 こうして翔子は生徒会長 海道美知とお話を始めた。

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