言われるたびにビクビクとくる身体のうずき。感じているというよりも硬い殻を壊されていると言った方がいい。耳元で不気味にささやかれる言葉がリリスの理性を狂わし始める。

 だが、ただ平民と言っているだけだ。それだけだ。しかしその言葉が不気味なのだ。だんだん声が大きくなる。ミリアムやその他の仮面男達もも立ったままこの異様な雰囲気に飲まれはじめた。

「平民……」

「平民……」
 ゆっくりと丁寧に心に刻み付けていくように言われるリリス。リリスは確かに平民だ。それはそうなのだが、ただ言われているだけ。無視すればいいのかもしれない。
 しかしこの状況でそれはむずかしい。

「平民……」
 ねちねちと繰り返されるリリパットの悪魔のような声。徐々にリリスは狂わされ始める。



(クウッ! こ、こんな嫌な男!!――――)



 バックに犯されている状態の時はいろいろされることは覚悟はしていた。しかしこの言葉で攻められるとは思っていなかったのだ。

「平民……」
 にやにやと笑いながら言う。性格の悪さがよく出ている。後ろからは男のモノ攻め、前からはリリパットの言葉攻めだ。しかし辱める言葉ではない。だが、なぜかリリスには効果がある。罵倒とは違う何かが……

「くはっ!」
 ついに後ろから一瞬官能のうずきが頭を駆け巡った。徐々に……徐々に……身体が……

 (どうして! うぐぐっ……)

 必死に耐えてきたリリスに平民という言葉がぐさりと来る! だがなぜこんな言葉ぐらいで……
 自分でも信じられないリリス、今さっき女王と言われた女は冷静さを欠き始めた。

 


 汗が……汗が出はじめた……



「平民……」
 しつこくもねちねちとした言動がますます鼻につく! そう思えば思うほど相手の思う壺だ。

 (くうううっ……んんっ……んはああっ!!)

 心で叫び始めた女王リリス、なぜ? なぜという頭が問いかける!



 ……こ、この方の……これが……この方のやり方か……

 ミリアムはガタガタ震え始めた。もう楽しんでいる気にはなれない。別に残虐行為をしているのではない。腕を切り取ったりしているのではない……しかしっ……
 ものすごく恐ろしさと不気味さを感じるのだ。

 
 髪をゆっくりと掻き分けながらリリパットがリリスにさらにしつこくささやく、そしてあの香水の匂いがリリスの頭からはっきりとよみがえる……
 芸術品をやさしく扱うように接するリリパット。


 (ガ……ガッツ……)

 あの嫌な思い出と今の状況がちょっとずつではあるがシンクロし始めた。香水の匂いがそうさせているのだろうか?


 (あ……あはっ……くはあっ!)

 ビクビクと頭に容赦の無い快感が来はじめた、さっきとは全然身体の反応が違う!


 (い、いや……くはあああっ!!)

 徐々に心の叫びが大きくなるリリス。そして後ろから攻めている男が乳房をまさぐり始めた!

「おお、いいぜえええっ!――――」
 ビクビクと自分のモノに締め付けが来始めたのだ。ようやく思い通りになってきたというところだろうか?


 しかしリリスはこの薄汚い男のモノで狂わされているという感覚はない。


「平民……」

「平民……」
 50過ぎの男の不気味な悪魔の低い声がリリスを狂わせているのだ。ミリアムさえも、他の男達さえも黙らせるこの雰囲気……

 そしてこのいやらしくもねちねちとした声が狂わせている。


「へへへ!! その気になってきたあああああっ!!」
 大声で叫ぶバック攻めの男!
 しかしそれが気に入らないリリパット。

「だまれ!」
 振り向いて男を睨む。まるで女を襲うのに作法でもあるかのようだ。


「あ、……あはは……申し訳ありません」
 後ろからリリスを攻めながら闘牛士に謝る。するとまたリリパットはリリスの耳元でささやく……


「平民……」

「平民……」


「あうっ! んんはあっ!!」
 ついにリリスが耐え切れなくなって声を出す。その瞬間にやりと笑う仮面の男。

「平民……」

「平民……」

「へいみん……」


「はあはあっ! あうっ!」
 口を開け感じていますというような表情だ。加速する後ろ攻めの男!

「あはあああっ!!――――」

 ビクビクと屈辱の官能の嵐がひっきりなしに襲い掛かる! リリスにとっていまだかつて経験のしたことのない官能だ。レイプとはまた違う陵辱感……
 汗が屈辱感をかもし出すように出始める。屈辱と恥辱にまみれた汗だ。
 顔からのだらだらとした汗と淫液が混ざり合って異様なにおいも出始める。

 ぷるぷると顔を震わせて嘆くリリス! それがまたこの仮面の権力者を喜ばせているのだ。

「平民……」

「平民……」
 容赦なく言われ続けるリリス。全く休むことも無く言われ続ける言葉……


 さらなるリリスへの攻めが始まった……


 
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