夜明けというのは非常に美しい……

 特に森の小川での夜明けは美しさは体験しないと得られないものだ。小鳥のさえずる声がさわやかな朝を迎える合図でもある。小川の流れるせせらぎの音が心地よく響いている。

 そこに一人の老婆が歩いてきた。腰を中ぐらいに傾けてよちよちと歩く。
 いつものように薬草を取りに来たのだ。毎朝の日課らしい。

「おうおう、今日もいっぱいいっぱい」

 いつものように薬草を摘みにきた。毎日の変わらない行為のようだ。しかし今日は違っていた……


 おや……?

 ふと老婆が見ると向こうに馬車が見える。

 

 ……こんなところに馬車じゃと? はて?……


 不思議に思うのは無理もない。こんな人気のない山奥のところで馬車が放置してあるのだ。おかしいと思うのは無理ないだろう。馬車の通り道は近くに確かにある。
 しかしこんな朝に、こんな場所で……

「? ん?」
 よく見ると馬車の側に女性がうつぶせに二人寝ている。

「…………」
 目を丸くするおばあちゃん。一人は上半身裸、もう一人は悲しそうな表情のまま眠っているのだ。
 裸の女の方は髪の毛が汗とみだらな液で朝日を浴びてきらきらと反射している。

 ――こ、これは……

 一瞬心中かと思ったおばあちゃん。さらに馬車をよく見る。

「あ、あれは……!!……」
 馬車の蜂の紋章を見る老婆。徐々に事の重大さがわかってきたようだ。二頭の馬がひっそりと二人の女性が起きるのを悲しそうに待っている。

「た、大変じゃ!! 大変、大変じゃあっ!!――――――」

 あわてて走り出す、大変大変といいながら叫ぶおばあちゃん。




 リリスとミクの……天国の晩餐会と、地獄の一夜が終わった……

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