再び地下牢


 熱心にミセルバが虐待新書を読みふけっている。ミクが来るまでの間読むのがもはや慣例になりつつあった。実は一通りもう読んだのだが、もう一度お気に入りの所を読み返しているのだ。

 はあ〜こういうこと……こういうこと……。 
 されたい――

 されたいというのは、張り型の事だ。ミセルバもそれがなんだかはよく知っている。媚薬をたっぷり塗ったもモノを奥深くに入れられる。そしてやさしく時には……激しくっ、動かされる。

 寸前で止められて。せつなくされて……そして最後に――思いっきり……。

 ああっ、きちゃった。

 股間がしっぽりと濡れ始める。指を入れて掻き回さずには入られない。豆をゆっくりと左右に振り、襞の脇をなぞる。目をつぶって感度を上げていく。

 ――ミクに……されてるように。

 ああっ、いい……ミク。

 指の動きが……ん?こつこつと部屋の扉の方から音がしてくる。
 
 ミクだ。

 メイド服で入ってきた。もう二回目だ慣れてきたのだろう。メイド長の部屋からこっそり来るスリルも楽しんでいるようだ。
「こんばんはミセルバ様」
「あら、きてくれたのね」
「もちろん」
 にこにこしているミク。吹っ切れたのだろうか?リリスからはあれから何も言われてはいない。ミクの性格だとそう簡単に吹っ切れるとは思えないのだが。スッとミクが近寄る。ゆっくりと息を合わせるように二人はキスを始めた。しばらくキスを繰り返しながらなにか談笑している二人。男だったら即、セックスだろうに。やはり女性同士というのはなにかが違う。
「ミセルバ様、私決心しました」
「?」
「ミセルバ様が望むことならなんでもするって」
「ミク……わかってくれたのね」
「はい、でも」
スッと下を向くミク。
「でも?」
「私、攻めるという気持ちはなるべく抑えてがんばりますね」
「ふふっ、いいのよ……そんなこと」
 
 ――ミク……そんなことは、あなたが……あなたが決めるのよ、決めなくちゃ……だめなのよ、ミク。


 ――私をどうするかも――

 どう弄ぶかも……どうやって私の身体を……ああっ、いじって……たまらなくして。ミク……。

 ミセルバがミクに唇を近づける。軽く触れ合う唇。

「お願い、ミク……私を……私を」

「辱めて……」
 被虐の言葉に酔いしれ始める御領主様。ミクはミセルバをじっと見つめる。もうこの言葉でも驚かない
 ミセルバも見つめている。ミクの返事を――今か今かと。



「わかりましたミセルバ様。」

 その言葉にゾクッとするミセルバ。ミクは意を決心したのだろうか?そっとミセルバのネグリジェを脱がし始める。乳房があらわになる。美しい形をしたおっぱいだ。ミセルバはじっとミクを羨望のまなざしのような目で見つめている。身体が震えはじめる、芯から熱いものが込み上げるように。もう乳首もとうの昔に勃起状態だ。

 ――ミクが舌を入れ始めた。
 やさしい感じの舌入れ。ミセルバがそれに答える。耳元に唇が迫る。そしてついにミクからある言葉が発せられた。


「私がいいというまで決してイかないでくださいね」

 ああっ、ミク――うれしい……うれしいわ。わかってくれたのね。

 言葉だけで身体が踊るような気持ちになる。


「も、もちろんよミク。お願いたっぷりと……して。たっぷりよ」
「はい」
 と、一言だけミクは言った。がんばらなければ……というような目をしている。焦らすのをがんばるのだろうか?再び舌を入れる力が強まる。ミセルバが下になりミクが覆いかぶさる。今まさに切ない宴がはじまるのだ。



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