数日後……

 寝覚めの悪い女領主が一人……

「おはようございます」
 もうメイドがきている。
「あら……」
 メイドの方をなんとなく見る。ミセルバの表情は最悪だ。ここ数日オナニーもしていない。
「ご気分がすぐれませんか?」
 メイドが気遣っているようだ。

 あれから戻ったミセルバ様とリシュリュー。二人はじっくりと話し合った。そして今回のことに関係した騎士達とメイドたちにも事情を聞いた。

 

 結論は出た……


 ツス家の誰かということまでははっきりはしないが。ただあのツス家の屋敷で何かがあったという結論は出た……だが。

 
 ――だからどうしたというの?


 これがもう一つ出た結論だ。わかったところでミセルバはどうすればことを荒立てなくて出来るかがわからない。そんな方法はない。あったらとっくにやっている。

 

 ――はあ〜もういや。


 プルプルと身体を揺らすミセルバ様。ネグリジェのおっぱいがゆさゆさ揺れる。
 本当は見舞いに行きたい。リリスとミクのことが気がかりなのだ。自分をマゾにしてくれる大事な大事な二人。身体を開発してくれるのはあの二人が必要である。

 しかし、立場上それは出来ない。ずっとミクとリリスを看ていたらだれだっておかしいと思う。メイドや使用人はは百人ぐらいいる。そのうちの一人をまるで親族のように見舞っていたら誰だっておかしいと思うだろう。

 だからこそさらに辛い……

 メイドや騎士、その他の者達には徹底的に公言しないように命令している。もちろん他の者にもだ。
 今のミセルバ様は快楽を追っている場合ではない。これからもし動くならどうやるのか、どうすれば一番いいのかで毎晩悩んでいた。

 自慰どころではない。

 が、悩むミセルバ様も美しい。女とはいつでも美しいものだ。

 ――これからどういうふうに動けばいいの? 私はどうすればいいの?

 メイドが乗っていたとはいえ、御馬車を拉致されたことは事実。これは許しがたい行為である。アウグス家の紋章が堂々と刻まれている御馬車を……

 しかしそれをどうやって調べればいいのかがわからない。ミセルバの心には事を荒立てたくないという意思がある。それが邪魔になっているのだ。
 さらに相手が相手だけに、下手するとものすごくめんどくさいことになる。

「朝食はどうなさいますか? もうお昼近いのですが」
「え?」
 びっくりするミセルバ。そういえば日が高い。

 ――疲れているんだわ……

 ミセルバは憂鬱になった。ここ数日こんな調子である。



「うん、どこも特に異常なしよ」
 ミクの胸元に聴診器を当てながら診察をするミルミ。毎日、ここへ診察のために通って来ている。
「はい……」
 だがまだ元気はない。いつものミクには戻れない。

「すぐにとは言えないけど……少しずつでもいいから元気出してね。そうしないと身体って弱ってくるものなのよ」
「はい……」
 コクンとうなずくミク。そのとおりなのだが、それはむずかしい。
「薬は1日3回飲んでね。じゃあ、後聞きたいことあるかしら?」
「……あの……リリスさんは」
 昨日も聞いてきたミク。
「大丈夫よ、彼女は強いわ」
 にっこり笑うミルミ。女医の笑顔は説得力がある。
「はい……」
 軽くうなずくミク。まだ弱弱しいが。すると……

「ねえ〜あなたミセルバ様がリリスさんににお姉さまって言うことある?」
「え?」
 ドキッとするミク。ミルミが妙なことを聞いてきた。

「ちょっとそういうこと言った覚えがあるから」
「……は……はあ〜」
 スッと下を向く。とっさにばれてはいけないという反応が出た。

「多分、聞き間違いだと思います」
「あら……そう」
 下を向きながらボソッと言うミク。それをじっと見ながら聞いているミルミ。

 ――ふむ……なるほどね。

 それ以上は聞かないことにした。レイプ事件のこととは関係ない話題なので、本当はもう少し聞きたいミルミだが。

 ――う〜ん、でも……あの時の思わず発したあの言葉は……

 なにやらいらぬ詮索を始めたミルミ。こういうことは大好きのようだ。
「じゃあ、今日はもういい?」
「あ、はい」
 コクッと頭を下げるメイドさん。といっても今は患者服を着ている。
 借りているのだ、患者さん用の服らしい。

「う〜ん、今度はリリスさん……と」
 コキコキと身体を動かす女医さん。そしてゆっくりとミルミは部屋を出て行った。

 (危ない、あぶない)
 心の中でちょっとホッとする。ミセルバ様との関係はばれてはいけないのだ。

 ホッとするミク。ちょっとだけいつものミクが戻ってきた。しかしまたあの事を思い出すと辛いものがある。今はゆっくりと身体を落ち着けることが大事なのだ。ベッドにゆっくりと寝転ぶ。

 ミクはまた眠りについた。心を落ち着けるために……飲んだお薬が効いてきたようだ……
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