執務室での痴態


 それから三日。ミセルバとミクは交じり合っていない。今日もまたいつもどうりに執務室で書類にサインをしていた。本当は毎日してほしいところだろうが。やはり平常心に戻ると恥ずかしさが前面に出る。なかなかいえないものだ。
 こういうのはたまに……そう身体にいいきかせているのだが心は別だろう。あれから二日はこっそり時間のある時に地下牢のあの本の続きを読んで過ごしている。張り型で責められる喜びや、言葉で嬲られる喜びが丁寧に描写されていたあの虐待新書。読むたびに身体がうずく。自慰を繰り返す。
 側にいるロットも二日前に治療を受けた。あの女医の手でされて至福の喜びを受けてきたのだ。だがその場でイッたことはない。治療を受けた後は、自室で即自慰状態である。

 この二日間は二人とも自慰の回数はお盛んだ。そして二人とも心は満足していない。
「これで終わり?」
「はい、ではこれはジボアール様へ渡せば?」
「ええ、お願い」

 ジボアール……ミセルバの側近の一人である。
側務官30人のトップにあたる、側務議長を務めている。ロットは書類を預かり、部屋を出て行った。

 さ〜て休憩ね。

 ベルを鳴らすミセルバ。しばらくすると近くに控えていたメイドの一人が扉を叩く。
「レモンティーをお願い」
「はい、いつものでよろしいでしょうか?」
「ええ」
 女は一礼して出て行った。







 執務室横の厨房。ここにはいつもメイドが一人控えている。レモンティーひとつ作るためだけに……。ある意味贅沢の極みだ。周りには軽い食事を作るための道具もある。すべては御領主、ミセルバ様のためのみ。各階にはいたるところに簡易厨房があり、そのすべてを清掃や整理するだけでも大変だろう。
ならばその無駄な部屋の効率化をはかればいいのだが。
 いやそこが金持ちや貴族の優越感なのだ。無駄なものに金を掛ける。そこまで必要のないものにこだわる。金がないものには真似が出来ない。現代の車でもそうだ。化け物のような馬力を必要としないのにこわれやすいのにその車を買う。年間100万もの修理代が掛かるとわかってもそれを買う。
 一般人には買いたくても買えない。それこそが選ばれた人間のみが買えると言う優越感。

 女が厨房に戻ってレモンティーを作ろうと始めた時だ。リリスが入ってきた。
「あ、良かった、3階の栄雅の間にお客様がいらしてるの、そっちに行って頂戴」
「あ、でも、これを」
「御領主様でしょ?私がするからいつものでいいのよね?」
「は……はい、ではお願いします」
 女が厨房から出て行く。リリスはメイドが出て行くのを確認すると、

 ――ふふ……これを入れてと。

 サラサラとなにかをレモンティーに仕込んだようだ。しばらくするともう一人女が入ってきた。
 
 ミクだ。

「あの〜リリスさんなにか?」
 どうやら呼ばれてきたらしい。
「や〜ねミク二人っきりの時はお姉さま、でしょ?」
「あ、はい」
 にこにこしているミク。
「ところで心の整理はついたの?」
「ええ……なんとなくですけど」
「まだ迷ってる?」
「う〜ん半分半分かな?」
「そう」
 コーヒーの器の側にレモンを添える。
「ミセルバ様にこれをもっていって頂戴。きっかけ作ってお話しなさい。」
「はい、ありがとうございます」
「それとね、ミク」
そっとミクの手を掴むリリス。見つめ合う二人。リリスが唇を求めてきた。ミクもそれに素直に応じる。
「ミク、レモンティーを飲みはじめたらいつものように肩を揉んであげてね」
「ええ、いつもしてることですし」
 するとリリスが少し笑って
「それからもし機会があったらこうしてあげて」
 後ろに回りこむリリス。そしてやさしく胸を揉み始めた。

 ――あっ……お姉さま。

ゆっくりと胸を揉まれるミク。そういえば最近お姉さまとは……ご無沙汰。耳元で甘い言葉が囁かれる。

「は、はい……わかりました」
 ミクは一気に魔法に掛かって行った。




「あら、ミク」
 ビックリするのも無理はない。お茶を申し付けた女性がミクになったのだから。

「私が変わりにお入れしました」
「そう、ありがとう」
 軽く微笑むミセルバ。ミクの方が本心はうれしいのだろう。ミセルバがゆっくりとレモンティーを飲み始めた。ミクは後ろに回り肩を揉み始める。
「ミク、最近はどう?」
「え?元気ですよ」
「そう」
 言葉が見つからない。今日、来て……といいたいのだろう。しかしなぜか恥ずかしさがそれを制止させる。あの本は読めば読むほど欲求不満にさせるモノらしい。一方ミクはといえば、心の整理はついて来てはいるが、やはりあの時のミセルバ様には違和感を覚えている。良くないことをしているのではないかという不安も隠しきれない。だから積極的になれない。


 ――しかし……ミクは今魔法に掛かっている。

 ――お話しなくちゃ。

 そしてミセルバにはリリスの淫らな企みの淫薬が……レモンティーを半分飲み終わった頃だ。


 ミセルバの身体に異変が訪れた。

 ボー……ボーっと……。

 あら?ふらつく――

「ミセルバ様?」
 気持ちいい〜フワーッ……てくる。

 う……んっ。

 ミセルバは顔をミクの方に軽く寄せてきた。

 あーお姉さま――入れたんだわ。

 リリスが入れた淫薬・・正確にはグリニトリンという興奮剤みたいなモノだ。身体が軽くふらつき気持ちがフワっとハイになる。副作用もない一種の麻薬だ。ミク達もお楽しみの時に最近使っているモノらしい。
 これを使わなくてもミクが行動に出て拒否される確率はほとんどないだろう。しかし念には念、これがリリスのやり方だ。ミクにはいいきっかけになった。お話するよりもうやり始めやすくなったのだから。

 ――そーっと。

 胸に……手を……忍び込ませるミク。

 しかし……いつ見てもいい胸だ。良いものは何度見てもいい。飽きることがない。

 ――あっ、きた……。

 ミセルバが気づく。軽く乳首を摘まれる。

 ああっ、いいっ――いえ……いけないわっ、ミク……だ、駄目。

 ――あうっ!

 ミクが両乳首をマッサージするように摘む。ミセルバがミクの手を掴んだ。が、その手に力はない。まるで逆に続けてと誘ってきているかのようだ。ミクはそのままキスを始める。そう、顔だけのシックスナインのように……。

 静かに唇を離したミク。
「気持ちいいですかミセルバ様?」
「ミ、ミク、だめ……」
 だがミクは辞めない。
「何が駄目ですか?ミセルバ様」
 乳首を巧みに弄り続ける。
「ああっ、ミク……駄目、気持ちいい」
 思わず本音が出たミセルバ。しかしやはり公務中だ。抵抗感があるのだ。

 ミク……気持ちいい。けど……。

「じゃあ辞めていいですか?ミセルバ様」
「……あっ……」
「辞めなさいとおっしゃればいつでも」
 
 ああっ……ミク、気持ちいい……お願い、私に同意を求めないで。

 ――いえっ、今は……駄目、駄目よミク。

 ミセルバがそう言おうと決心した時だ。ミクが下半身に手をやった。そう……ドレスの中に……花園に  侵入を試みたのだ。
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