あっ、ちょ……ちょっと――

 ピクっとミセルバが反応する。いとも簡単に手がドレスの中に入り込む。
 実はドレスにはちょうど腰周りに手を入れることが出来るようになっているのだ。ごわごわした時や着付けがおかしい時に手で調節出来るように。またなにか急ぎの時にすぐ脱げるようにもなっている。しかし今は違うことに使われ始めたようだ。三日ぶりのミクの愛撫。
 ひさしぶりである。

 ああっ、もう……ミク。

 ――どうして……こんな時に……どうせしてくれるなら、そういえば私、なにか言ったわよねこの前……
 あなたが……決めていいって――

 確かにミセルバは三日前ミクに焦らしてイカせる時はあなたが決めてといった。だが、公務中にしてとは言ってない。

 だが……。

 ――ああ……だから……今、攻められてるんだわ。そうよ……そうに決まってる。
 私が……私がいけないのよね、ミク――

 どうやらとりあえず自分が今続けてほしいので、勝手に解釈を変え始めたらしい。まあしてほしいのなら別に構わないが。
 あっという間に、あそこの中に指が入ったかと思うと、その指の淫らなメロディがミセルバの頭の中を駆け巡る。ミセルバのあそこの肉襞が指の細かな動きさえも逃さないように食いついているかのようだ。
 身体が脳に気持ちがいい、気持ちがいいという信号を送り続ける。顔が高調し始めた。ミクがさらに激しく動かす。もう全くミセルバの抵抗感はなくなった。イクための、焦らされるための準備も整った。脳髄が絶頂寸前からの長い攻めを望み始める。

 ――ああっ、くる、くるわ。

 ミクが空いている手でミセルバのあごの辺りを撫で始めた。まるで猫を撫でるように。キュッとミセルバが唇を噛み締める。

 ――くあっ、き、きた……あんん。

 身体がビクビクビクとケイレンする。ミクの指が与える刺激を逃さないようにしてきた美肉が溜めていた愛液を放出した。


 ――あっ――

 イ、イッた……イッたの……ね。で、でも。

 いよいよ焦らしが来ると当然思っていたミセルバだったが、その攻めは来なかった。だがよく考えれば当然だ。今は、公務中。いつ他の人間が入ってくるかもしれないのに、そんなにゆっくり時間を掛けられるわけがない。

「ふふ、どうでしたミセルバ様?」
「ええっ、き、きもち……よかったわ、で、でもミク」
「はい?なんでしょう」
 なんで、焦らしてと言おうとした時理性が正常な判断を促し始める。

 ――そうか……今って。

 ようやく状況がわかったらしい。

 ――はあ〜じゃあなんでミクは。

 なぜ今ミクがしてきたのかはわからない。ミクが求めてきたから?う〜ん。ゆっくり時間を掛けてしてほしかったミセルバ……でも仕方ないわねと納得する。
「嫌でした?ミセルバ様」
「ううん、良かったわとっても。でも公務中にいきなりされるなんてビックリ」
「ミセルバ様見てたら……どうしてもしてさしあげたくて……ご迷惑だったでしょうか?」

 はあ〜違うのよ……ミク、私が求めていたのをわかったのかしら?正確な答えはわからないが、とりあえず乱れた髪を整え始める。

「ミク……今日来て」
「は、はい。うれしいです」
「ふふふ」
 チラリとミセルバが周りを見る。今は二人っきり。改めて確認した後、
「キスして、ミク」
「はい」

 二人はちょっと唇を重ねた後。しばらくお互いの表情を確かめるように見つめあっている。

 その様子を……

 隣で、隣の部屋で。

 見ていた、いや、こそっと盗み聞きしていた女性がいる。横の控え室とは意外と壁は薄いのだ。
コップのようなモノを壁に充てて耳を近づけて盗み聞きするとよく聞こえる。

 ――やだっ、濡れてきちゃった。

 いつもああいう感じなのね、ミセルバ様とミクは。あっ、もうこんなに。

 じんわりとショーツに染みた愛液を確かめるように手で触りながらリリスは、あそこの具合を確かめていた。

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