屋敷の中に入ったライザ。メイドに案内され、寝室へ向かう。

「お嬢様、ライザ殿がお見えになりました」
「はじめましてライザ」
 ライザが深く一礼する。スッと顔を見上げるライザ。その向こうには……妖しい目つきをした美しい女性が座っていた。ロングの髪にピンク色のドレス。年は20代後半に見えるが実はもう30を越えている。未だに独身ということだ。若く見えるということは相当身体を磨いているということだろう。

 ――30超えてお嬢様?――

 だがこの国ではごく普通の呼び名。一人身であれば40だろうが、50だろうがわざとお嬢様と呼ばせる貴族の女もいる。つり目のきりっとした顔立ち。胸もけっこう大きいほうだ。誇張している服を身に着けているからさらにそう見える。
「ライザと申します、以後お見知りおきを」
 また深く一礼するライザ。にこりとラルティーナは微笑む。だがどこか……冷たい。

 冷たいのだ。

 頭はよさそうに見える……が、徹底的な合理主義者に感じる表情。こういうタイプは怖い。
「じゃあさっそく診てもらえるかしら」
「はい」
 ライザはゆっくりと診察の準備を始めた。






 ついにリリスはミセルバと唇を重ねた。ゆっくりゆっくりそのやわらかい感触を確かめるように……

 ――んんっ、あんんっ……もうされるがままだ。御領主の立場も関係ない。唇をリリスに奪われ、胸をやさしくドレスの上からミクに愛撫される。身体から脱力感が沸いてくる。なんともいえない状況。今、二人のメイドから身体を、唇を愛撫されているのだ。
 ゆっくとリリスが唇を離す。そう長く楽しむわけにも行かない。鍵がかけてあるわけでもない。誰か入ってきたら大変だ。メイド二人に愛撫されている御領主をみたら騒ぎになることは確実。

 ――はあはあ……息が荒いミセルバ。この背徳のシチュエーションをたっぷりと堪能している。

「ミセルバさま、続きは今日の夜……よろしいですか?」
 リリスが同意を求める。

「えっ、あ……あん」
 ミクがまだ胸を触っているのだ。

「え、ええ……いい、いいわ」
 感じながら悶えながらリリスに返答する。

「ミク、行くわよミセルバさまを困らせてはだめよ」
「はい」
 スッとミクが引く。少しずつ少しずつ理性が戻り始める。でも……変だとは思わない。変だとは……

 ……背徳の心が……むしろ、今まで……

 私は……これを、私は……と。

「ミセルバさま私うれしいです、好きになって頂けただけでも」
 ミクの愛らしい声。
「え、ええ」
 ミクににっこり微笑むミセルバ。背徳の笑顔。リリスが一礼してその場を去った。続いてミクも去る。

 この部屋にはミセルバ一人。しばらくミセルバには頭の整理がつかなかった。でも確実に……リリスの牙は御領主の身体に食いついているのだ。




 上半身裸になって座っているいるラルティーナ。見事な大きさの胸があらわになる。乳首の大きさも筆者好み。形といいなかなかのモノだ。白衣を着て聴診器をあてる。別にどこかが特別悪いわけでもない。
 だが検診をさせてもらえるということにライザは喜びを感じている。
 とにかく気に入られること……特に女性は男性よりも女医を好む。トラブルが少ないからだ。女医自体も少ないのでますますチャンスでもある。聴診器の役目が終わると、次にライザは質問する。

「どこか他に気になることはありますでしょうか?」
「そうね……最近よく肩がこるの」
「そうですか、マッサージ等を試されたことは?」
「それならメイドによくしてもらってるわ」
 スッと服を整えるラルティーナ。胸が隠される。まだ本音は見ていたいほどの良い胸だ。

「もしよければ針などを試されることもお勧めします」
「針……ああ、針医ね、昔よくいってたけど」
「お試しになられたことが?」
「ええ、でも嫌な男だったから」
「まあ〜」
 ライザがわざとらしく驚く。世間話をし始めればこっちのものだ。後はゆっくりと話し込めば気にってもらえる確率も上がる。それから数分間……いろいろなことを話し込む両者。しばらくして側に控えていたメイドの他にもう一人のメイドが現れる。ミクのようなタイプのメイドだ。

「じゃあ、また診てくれるかしら?」
「は、はい、喜んで」
 心中で小躍りするライザ。この言葉こそお抱えになれるという証の第一歩。ライザは着実に名医に向かって歩き出していた。




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