続き


 グラスを持つ。なにげなくワインを注ぐ。一気にそれを飲み干す。そうすることによって身体に淫らな欲求が、芽生え始める。この癖は、独身時代から変わらない。ワインを飲みながら、身体をまさぐり、オナニー。
 これが最高なのだ。


 ――実は――

 マグの……行為には満たされない欲求がある。
 足りない。なにかが……あの人には。

 結婚してからたしかにやさしい夫、セックスもまあまあ満足させて貰っている、行為中の情熱も感じる。
が、いまいち足りないモノがある。

 ――なんだろう〜よくわからない。

 別にまだポポの企む薬が入っているわけではない。しかし、後一歩の……なにかが。

 ――う〜ん、あ、きもちいい。

 うあっ……

 片手でゆっくり胸を揉みながらワインの注がれたグラスを見つめる。あの城での行為がまた始まった。
今度は誰も見てはいないが。ネグリジェの上から股間をまさぐる。割れ目をスーっとなぞりながら徐々に奥に指入れをする。が、あくまでまだネグリジェとショーツの上からだ。だんだん感度を上げていくのだ。ワインを飲みながら……

 ――いいっ、いい……あっ!

 ここであの剣の柄があればそれを使うだろうが、今はそれより……

 ――ん?

 ほう……なんと、それを使うのか。持っているのは、化粧箱に入っている筆のようなものだ。まつげ等を書いたり、なんか塗るようなことにつかうものらしい。それの逆の柄の部分を割れ目にあてて、ゆっくりとこすり始めた。





 ゴゴゴッ――

 ギッ、ギギッ――

 お城のルビアの執務室に、影が忍び寄る。スリル満点だ。面白くてたまらない。こういうのは若者にはドキドキする瞬間だろう。ゆっくりと遮られている机を動かす。それにしてもよく出来ている。この隠し扉は普段は全くわからない。いやもう何十年以上発見もされていなかったのだ。
 ポポが知るまでは……

 部屋は月の明かり以外真っ暗。だが一応状況確認。

 ――へへっ、ワクワクするなあ〜なんか……

 さて、どうするかな。

 ここへ来たのはいいが、その先を考えてこなかった。

 う〜ん〜

 適当に置くといっても。ここも掃除された場合、ヘタに置けない。

 ――おっ、そうだ。今日……ルビアは……確か……。


「そうなのか?ルビア」
「はい、私は大の甘党です」
「紅茶やコーヒーも必ず砂糖やクリームは多めに入れるタイプですから」
「へ〜ブラック派に見えるけどなあ」
 昼間の会話だ。

 ――そう言っていた……なら、砂糖やクリーム入れに……
 各部屋には必ず砂糖、クリーム、蜂蜜等をいつでも絶やさないようにしてあるのだ。

 ――よしっ――
 殿下は作戦を実行に移し始めた。



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