辺りが一挙に騒がしくなった!

 ――きゃああああっ!!――

 いきなり剣を抜かれて民衆が騒ぎ始めたのだ!

「殿下!」
 ガバッと殿下の前に立ちふさがるルビア。
 剣と剣がぶつかり合う!
 次々に黒服たちの数が増えていく!

 ――うおおおおおおっ!
 ジトが剣を振り回す!
 クリティーナも暴れ始めた!

 だが、黒服たちはいっせいにルビアめがけて剣を突きつける。それを次々に振り払うルビア。

 ポポも短剣を持って……
 さすがにびびっているらしい。

 ――おいおい!どうなってるんだよ!

 突然襲い掛かられたら誰だってびびる。
「貴様ら!この方を誰だか知っての所業か!」
 ルビアが大きな声を張り上げる。2,3人を切り倒したルビア。だが黒服の男はまだ10人近くいる。
 逆にルビアたち軍人が殿下を囲んだ。その瞬間ピタッと動きが双方に止まる。

「皇太子殿下であらせられるぞ!」
 もう一度大きな声を張り上げるルビア。

 ――で、殿下?

 その言葉を聴いた瞬間、まわりの野次馬が騒がしくなる。
 後ろから声がする。城下町見回りの軍人と警備の役人が駆けつけて来たのだ。これでルビアたちの方が有利になった。
 しかし黒服のモノたちは諦めなかった。

 ――バンッ!!……バンッ!!

 あたりが煙に包まれる。

 ごほごほっ!――

 人々がまた悲鳴を上げる。しかも目がしみてきた。

 ――畜生、目が……目が……見えねえエエ!!

 どうやら催涙を催すようなモノが仕込まれていたらしい。これによりジトとクリティーナの動きが止まってしまった。

 ――し、しまった!
 クリティーナが動揺する!

「殿下!殿下!」
 叫ぶクリティーナ!その殿下とルビアは……

 


 逃げていた。
 煙が包まれた時にとっさの判断で目をつぶったルビア。ポポ殿下を連れて走っていたのだ。



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