納屋に入った三人。しかしここでラミレスは躊躇する。ここから洞穴に入るのが一番安全。
 なにせ隠し通路になっているからだ。万が一見つかっても迷路状で最初に入った人間は戸惑うだろう。

 ――しかし、ここは誰にも他には知られたくない。

 バキィィィィ!!――

 バキィィィィ!!――
 バキィィィィ!!――

 な……何の音?

 まさか……屋敷が、

 ――壊されてるの?――

 的中である。どこに行ったかわからないので屋敷の中を黒服の連中が荒らし始めたのだ。
 メイドの悲鳴がこだまする。

 きゃあああああっ!

 いやああああっ!――

 ルビアがグッと剣を握り締める。が、ここを出るのはまだまずい。

 ――どうする?
 ここにいても……

「ルビア!こっち!」

 「え?」

 ラミレスは決心した。

「ポポ、大丈夫か?」
 ポポはもう目が見えない。どうやら一時的にやられたようだ。地下に入る入り口を案内するラミレス。
 もうここも危ない。迷わず三人は入っていった。

 ……
 …………
 数分後……


 ドン!――

 ドンッ!――


 バキャアアアアアアアアアア!!!――

 納屋を鉄球で壊す大男。納屋に入った。扉をぶっ壊して……

「くそッ!ここにもいねええええええ!!――」
「おい!退却だ!」
「なにい!まだあの女やってねえええ!――」
「兵士の数が増えてるこのままじゃこちらが危ない」
 ギリッっと歯軋りするおお男。

「ダグ!ここはいったん引くぞ」
「貴様があの時止めたろうが!」
ドス黒い声で言い返すダグ。
「誰も殿下を手に掛けろとは言っていない!姉上はそんな命令は出していない!」
「…………」

 ダグと言われる大男ともう一人の黒服の男が逃げ始める。

 ――覚えていやがれ……次こそは必ず仕留めてやる。

 ――チャンスがあれば犯して……プライドをぼろぼろにして殺してやるぜ。

 ぎらつく目……顔までおおいかぶさっている服の向こうの眼は……
 憎しみで満ち溢れている……これほどの憎しみ……なにがこの男を……?
 黒服たちは退却を始めた。







 一方こちらはルビアたち……。

「見えないよ」
「ちょっと我慢しろって一時的だよ」
 一息ついているラミレス。だがルビアは安心してはいない。ここがどういう場所かも知らないからだ。
「ラミレスさま、ここは?」
「え〜と〜あはははっ」
 笑ってごまかすラミレス。

「?」
「まあいいじゃんかよ、それより……あ、あの」
 どうやら胸に眼が行っているようだ。破かれた軍服……それに入りきれないと自己主張しているかのようなおっぱい。ルビアも気づいた。だが今は隠す気もない。まだ緊張感の中にいる。
 そんなしぐさをする余裕もない。

 ――殿下。

 ぐったりしているポポ……おまけに目も見えない。ポポ、頭の中が混乱状態。なんで突然襲われたのか
 もちろん皇太子という立場ならありえることだが。なんで?皇太子ってわかったのか?
 今は平和な時代……今の王家は人々からも信頼は結構厚い。
 確かに不満ゼロではないが。

 ――ここは……どこなんだろうか?

 ルビアはこの場所が気になっているようだ。興味だけではない。まずここの場所が安全か把握する必要がある。今はまだ戦闘状態なのだ。だがラミレスはもうノン気なもの。
 もう安全とわかっているからだろう。内側から鍵まで掛けられるのがこの洞穴の特徴でもある。

 それからしばらくして……ラミレスが言う。

「ちょっと様子見てくるよ」
「え?でも、危険では」
「大丈夫、別の場所から見るから」
「……?」
「ルビア、ラミレスにまかせよう。ここは大丈夫だよ」
 ポポも同意した。目が見えてきたらしい……ここがどこだかもわかっているようだ。

「わかりました」
「じゃあちょっと様子見に行って来る」
 ラミレスがにこっと笑う。

 ――ふう〜

 スッとポポの側に寄るルビア。ポポはまだ下を向いている。横には大きなおっぱいが見えているにもかかわらず。だが、そんな状態ではないという気分だ。

 ――殿下……。
「お怪我はありませんか?」
「う、うん」
 頭にちょっと血が出ている。ルビアが壁に寄り添っているポポの正面に座る。腰につけている負傷した時の治療薬を取り出す。
 血をふき取り薬を塗るルビア。目をつぶっていたポポが目を開けた。

 ――あっ……大きい。

 おっぱいが少年の目の前に迫っている。さっきまでは緊張していたせいか、そんな余裕もなかたのだが、今はちょっと落ち着いて来た。すると性欲が正直に表に出てくる。

 じっと見るポポ――

 乳首がきれいだ。破かれている軍服からちょこんと出ている両胸。絵になる光景だ。だけど、下半身が反応するほどの事はない。そこまで余裕がない。

「さ、終わりました」
「うん」
「殿下……申し訳ありません」
「うん?」
「怪我をさせてしまって」
「気にすることないよ、ルビアはよくやってくれた」
「ありがとうございます」
 ルビアは正直うれしかった。これなら守りがいもあるってものだ。

「おい!もう大丈夫だぜ」
 ラミレスが帰ってきたらしい。
「じゃあ、ここを出る?」
「うん……でも」
 ラミレスとポポが顔を見合わせる。二人が何か話し始めた。それをルビアはちょっと不思議そうに見る
「あのさ、ルビア……その、ここ」
「はい?」
「秘密の場所なんだ」
「…………」
「だから、黙っててほしい」
「…………」
 
 ――少し考えるルビア。そう言われるなら……
 なにかの隠し部屋?なのかしら。まあいいけど・・

「わかりました殿下、ラミレスさま、このことは心に留めるだけにしておきます」
「ありがとうルビア」
 殿下がちょこんと頭をさげて礼をする。そのしぐさがかわいい。

「じゃあ他に見つからないようにここから出よう」
「OK」
 三人は納屋の出口に向かっていった。



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