ルビアは少し疲れているようだ。さんざんいろいろ言われたらしい。


 ――ああだ、こうだ……まあ気持ちはわかるけどね。

 よほどルビアが王子の警護長役に任ぜられて気に入らないのだろう。あの少将は事あるごとに嫌味に近いことを言ってくる。ここは今日からルビアの自室になる部屋。結構豪華な仕様だ。何百もある部屋の一つなのだが、ルビアぐらいになると個室の部屋が割り当てられる。
 いろいろな絵画が数点並び、ところどころに装飾が施してあり、ヨーロッパ調の趣が感じられる場所だ

 ――はあ〜明日から……だったわね。

 椅子に横たわりながら、身体をリラックスさせている。

 ――殿下は……結構いたずら好きとか。手を焼きそう。

 噂は聞いていた。無類のいたずら好きで、すばしっこく悪賢い……など、結構やんちゃなお方のようだと。13には見えない顔立ちとか。しかし将来は間違いなく王になられる方だ。実はもう周りでは将来の后の事でいろいろうるさい。女性は基本的に16ぐらいから結婚の話が持ち上がる事が多い。
 男性はというと18ぐらいからだ。だがそれは平民の話。貴族、王家になれば風習や慣例にもよるが、早い結婚もありうる。特にこの国の王家は男性の結婚は早い。
 そして愛人(側室)を多く置く事が、慣例。この愛人が曲者だ。過去近隣の国においても揉め事、陰謀が渦巻き混乱の元となるのが愛人の方なのだ。王妃になるにはそれなりの身分でなければ、まず無理だから。しかし愛人なら別。平民でもお気に入りになればあっという間に貴族の身分になり、家族にもその恩恵が来る。
 だからこそ、こぞってメイドでもいいからお城に娘を送り込むような家もある。もちろんどれを愛人にするかは、ポポが決めることだが。ポポの年頃は特に年上に対しても憧れることが多い。そしてこの王家は代々年上好きの男が多く、若い時に愛人にしたほとんどが年上だったという記録もある。
 血筋は争えない。ポポも例外ではないだろう。

 だが本人はまだその愛人とかに興味はない。性には興味があっても、やはり最初は相思相愛の彼女がほしいというのが本音だ。愛人とはポポには地位や金目当てでくる嫌な女のイメージが強い。かといって正式な皇太子妃をもらうつもりもさらさらない。

 ――縛られるのはいやだ――

 これが今のポポの気持ち。

「ルビア准佐、失礼します」
 戸を叩いて女が入ってきた。
「本日より、ポポ殿下の警護補佐を任ぜられたクリティーナと言います」
「よろしくクリティーナ。あなたたしかずっと中央にいたのよね」
「ええ」
「殿下のことはあなたに聞くようにと言われたから」
 ゼット少将はそう言った。ようはいちいち自分が言うのを面倒しいということだろう。
「殿下の性格ですか?」
「まあ〜噂には聞いてるんだけど」
クリティーナはちょっと考えて
「まあ〜噂どうりの方かと」
「そう、わかったわ。あなたの顔見たら……だいたい想像つくわね」
「恐れ入ります」
 軽く頭を下げるクリティーナ。
「後もう二人配属されたようなのだけど」
「メルビン大尉と、クライシス外交官ですね」
「そのクライシス外交官……ってどういうこと?」
 疑問に思っていた一つだ。外交官とは文字どうり外交を主に司る役目なのだが……なんで警護に。

「その方は隣国ザルブゼルクの外交官です」
「え?」
「この国の人間ではありません」
「?」
 ますます疑問が沸く。
「詳しいことは明日本人から聞くしかないかと」
「ゼット少将も教えてくださらないのよ、なにが気に入らないか知らないけどね」
クスッとクリティーナが微笑む。
「あの方は基本的に女性が軍で大きくなることを嫌っておられますから」
「困った人ね、まあいいわ明日になればってことね、今日はもういいわよ上がって。明日殿下に正式にご挨拶ということらしいから」
「わかりましたでは失礼します」
「あ……まって、今日あなた開いてるかしら?」
「あ……はい」
「一緒に食事でもどう?」
「喜んで」
軽く一礼するクリティーナ

 ――いろいろ聞き出さないと……こういう時地方にいると疎くなるのよねえ。

 その後二人はしばらく話し込み始めた。


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