侵入


 あ〜疲れた。頭いてえ〜

 語学……殿下にとって一番の苦手。

 ――なんであんなこと覚えないけないのだ?ホント……数学なら面白いけどなあ〜
 理数系がお得意らしい。どうやら覚えるのが苦手のようである。

 側にはメイドが一人。一緒に部屋に向かっている所だ。戻ったらやっと自由時間なのだが。
「なんで明日に出来ないんだ?あいさつしに来るの明日と聞いてたのだけど」
「外交官の方ですから」
「なんで外国の外交官が、俺の側に仕えるのだ?」
「さあ」
 メイドに聞いてもわかるわけがない。

 ――ちくしょう〜あいさつなら俺の部屋まで来いって。どうやら別の大広間に行かなければいけないらしい。お城は……広い。
 端から端なら20分ぐらいはへたをすればかかる。二人は部屋に入る。着替えるようだ。だがそのまま着替えてあいさつを受けに行くような気はさらさらない。
 ん?……殿下がなにか持っている。



「きゃあああああああああああああっ!!――――」

 メイドが大声を上げて部屋から飛び出した!

 ――ザワザワッ――ザワザワッ――

「どうしたの?マール」
「か、カエルが!カエルが……」
 作り物のカエルだが妙にリアルに作ってある。マールはこれが大の苦手。ビクビクしているメイドのマール。

「殿下!」
 怒った顔で、他のメイドが部屋に入る。しかし……もうそこに殿下はいなかった。









 ――へへへへっ――

 スルスルと縄を使って降りる。殿下の部屋は城の右の最上部にある。部屋の窓からその下は人が十分に歩けるほどの道のようになっている。ここから自由を謳歌するというわけだ。だが本来の目的は、城に敵が入って逃げるためのモノだが。
 メイド達も後を追うが……もうどこにいるかわからない。いつも消えてしまうのだ。
 理由は簡単。秘密の洞穴を殿下は利用しているから。


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