ゆっくりと顔を戦乙女に近づける。ランカはもうあきらめていた。一方、ミシェルンたちは、その気迫に飲まれている。

「うっ……うぐっ」
 恐怖を感じるほどのサルンの気迫。ゆがむ美少年の顔。弟の女であろうが、もうかまわないようだ。
「君の身体は、この僕に犯される義務がある」
「な、なに?」
 なんというふざけた言い方だ。
「それをしっかりと教えてやるよ」
 乙女の握っていた剣が堕ちた。サルンが力ずくで落とさせたのだ。次にサルンは、口を近づける。この状況で口づけするつもりか?

「やめろ! 汚らわしい!」
 抵抗するラゼ。その様子に満足げな少年。

「いい、反抗だ、さすがは弟が愛しただけのことはある」
「この馬鹿者が! 非道にも劣る奴! 地獄におちろ!」
 ありったけの気迫で叫ぶラゼ。それが今のサルンにはもう心地よい。次の瞬間、無理やりくちづけした!

「んぐううっ!――」
 抵抗する戦乙女。どきどきして見ているミシェルンたち。
 一方、ランカの下半身は触手があそこをいじめている。

「くはっ!――」
 口を離す! 次の瞬間、あごを掴んだラゼ。笑っているサルン。切り替えた心はもう戻らない。そのまま倒れこんだ。上半身の鎧を外しにかかる。その少年にたいして、ありったけの力を込めて、首を絞めるラゼ。
 しかし、体力は続かない。もう、勝負はついている。
 
 と、そこで……

「うあっ!」
 サルンが叫んだ!脚でみぞおちを蹴られたのだ!覆いかぶさっていた身体を起こす。その隙に体制を整えるラゼ。足にさらに力を入れる。足が光り始めた。

 すると、いきなり後ろのミシェルンに怒鳴る。

「黙ってみてろ!」
 サルンが戦乙女の後ろから、攻撃しようとしたミシェルンに叫ぶ。
「サルン……」
 てっきり自分は加勢するために必要と思ってたからだ。
「僕一人で、けりをつける、せめてもの情けだ」
「ばかばかしい! お前にそんなことを言う資格があるものか!」
 サッと下半身を整える。ラゼ。ボロボロになった下半身のスカートをが動く。さらに足が光る。一撃を加えようとしている。しかし、ランカは悲観的だ。

「きな、受けてやるよ。君の思いをね」
「くたばれ!――」
 最後の体力、精神力を振り絞ってラゼが蹴りを入れた!

「ぐはっ……あああっ!――」
 サルンの脇に、強烈な一撃が入る。瞬間、脚を抱え込んだ。脚を捕らえられた戦乙女。
 サルンがにやっと笑う。

「本当に気が強いね。気の強さは、マレイアス以上だな」
 脚を抱えさせながら、顔をゆっくりと近づける。その不気味な美しい顔に、一瞬寒気を覚えた乙女。

「そりゃ!」
 抱えていた脚ごと天に向かって放り投げる! 天井は結構高い、この洞窟。しかし、あっという間にぶつかった。その時、乙女の背中に衝撃が走った!


 ――ビシイイイイイイイイッ!――
 鎧が背中から砕け散る! サルンが下から光の玉を放ったのだ!  鎧が砕けちった!

 しかし、ここから、ラゼは戦乙女という気力をみせつける!


「うおおおおおおおッ!――――」
 
 なんと砕けた瞬間に身体の向きをサッと変え! 顔と身体を天井から地上へ向けたのだ!
 さらに拳法のような構えで、そのまま落下する!


「しねええええええっ! サルディーニイイイイイイイイッ!!――――」
 手の先の爪が異常に伸びて、サルンの心臓を貫こうとする! その行動力に驚くサルン!


 ――ガキイイイイイイイイイイィッ!――――

 ……

 …………

 ………………

 一瞬だった、一瞬はやく……


 サルンの触手が勝った……

 背中から出たサルンの触手が、勇猛果敢な戦乙女ラゼの、手刀を拘束したのだ。それだけではない、四肢の身体も……空中に浮くラゼ。もう、この触手に対抗する力はない。精神力も体力も、回復するには、後、数日はかかる。それは他の王族エルフも同じだ。

 その王族エルフの、全身全霊を込めた力の玉を、数回受けて、まだまだ余力があるサルン。

 あっけにとられているのはミシェルンたちとランカだった。この状況で、あの鎧を壊された衝撃の瞬間に、このような行動に出るとは、誰も予想していなかったからだ。


 これがエルディーニの婚約者ラゼのすさまじい戦乙女としての、最後の気合だった。

「ますます気に入った……マレイアス以上のその度胸……君は、今日から僕の第二の后だ」
「なっ! なんだと!」
 怒るラゼ。美しい顔が、もてあそんでいる少年をにらみつける!

「さあ〜契りを結ぼうじゃないか! 君には弟は役不足だ」
「き、きさま! 恥を知れ! この鬼畜の生き物が!」

「ふ、ふふふ……あはははははっ! あっはははははははっ!――――――」


 ゆがむ、ゆがみまくる美しい顔。醜悪な少年の素顔が出るように……

 四肢を固定された、ラゼがゆっくりと触手によって、サルンに近づけられる。

「くあっ!」
 両脚を無理やり広げられた。空に浮いたまま。
 全身の鎧はもうない。その下は下着のような格好だ。ラゼの下半身が、サルンの下半身に近づく。

「や、やめ……」
 ゆがむラゼの表情。

 次の瞬間、サルンのペニスがラゼの股間を貫いていった……
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