学園内に入る翔子と老人。どうやら老人は翔子の身の回りの世話人らしい。それにしても、校舎の作りはまさに一昔を思い出させる作りになっている。豪華絢爛とはこのこと。
 そして周りは女、女、女……当たり前か。どうやら制服はあるみたいだが、微妙にみな着ている服が違う。 ある程度自由な服装が認められているらしい。
 なるほど、翔子に負けず劣らずの美貌や、気の強さを持ち合わせた女性も多そうだ。翔子にとって前の学校では敵はいなかったも同然だった。だがここは違う。翔子クラスの資産家や名家の女性はたくさんいる。
 特別ではない。
 ちらちらと翔子は校舎の雰囲気や、他の女性たちの値踏みをしている。

 ――あまりたいした子はいないみたいね。

 そう思う翔子だが、それは違うだろう。ここは間違いなく、普通の学校とは格が違うのだ。おそらく翔子もピンとくるものは感じているはずだ。が、プライドがそれを許さない。

「失礼します」
「はじめまして……如月翔子さんですね」
「はい」
 校長室の中に入る二人。落ち着いた感じの中年の女性が、校長室の椅子に座っている。年は40過ぎに見えるが実際はもっと食っているだろう。にしてもスタイルがいい。穏やかな顔立ち、物腰のやわらかさ、雰囲気も静かに印象を与えるという感じだ。この手のタイプの女性を好きな男性も多いのではないだろうか?
 年齢さえ関係なければだが。若作りもうまそうである。

「今日からあなたはこの学園の生徒の一人になります。節度ある行動、言動をお願いしますね。  勉学にもはげんで頂きます」
「はい、わかりました」
 スッと軽く一礼する翔子。簡単なあいさつの後、翔子とお付の老人は校長室を後にした。



 ――まだ来ないわね。まったく……なにやってるのかしら。

 お付の老人と別れてから、20分が過ぎた。控え室で待つようにと校長に言われたのだが。

 ――ガチャ……

「如月翔子さんね」
 スッと翔子が立ち上がる。

 やっときた……
 
 なかなかのスタイル。だが知的な美人というわけではない。そう、かわいいというタイプに入るだろうか?
 胸もそんなに大きくはない。筆者の好みとはちと違う。
 こじんまりしているという感じだ。制服さえ着てなければ如月の方が大人に見える。
「あなたのクラスを受け持っている。飯田舞妓といいます。よろしくね翔子さん」
「はい、よろしくお願いいたします」
 丁寧な言葉だが、なんとなく嫌味っぽい言葉にも聞こえる。翔子独特の言い回し。20分待たされたのがこの言い回しの原因だ。

「じゃあクラスの生徒達に紹介しますからこちらへ」
「はい」
 ――さーて……いよいよね。

 ――最初が肝心。

 舐められないためには、それなりの存在感を誇示する必要がある。常に、トップに身をおくためにはそれなりの印象を与えるのが大事なのだ。目つきがちょっときつくなった。勝負の時が近づいているという雰囲気が高まる。いよいよ翔子のこの学園でのデビューが始まる。

 そう、淫らな欲望と……争いと……裏切りの。
 すさまじい女達の戦いの場に翔子は巻き込まれていくのだ。


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