――ほお〜 これはこれは
 リシュリューが感心している。魅力的な衣装にちょっと心を奪われる騎士長。

 リリス着ているのはブルーの着飾ったカフスと呼ばれる服だ。これで腰に剣を構えれば立派な美青年の貴族の男性という感じ。もともと気の強いリリスにはメイド服よりもこちらが似合う。特にお尻が誇張されセクシーさをかもしだしている。胸も誇張されて見えるのでなおさらたまらない。この格好に他のメイドたちがキャーキャー言っているというわけだ。

 ――男性的な美しさか……着飾れば誰でも美しい……というわけか……

 心でぼそっとつぶやく騎士長。しかしこれを決して他の貴族の娘の前では言ってはいけない。

「すご〜い、似合ってる、リリスさん」
「ありがと、そう言われるとうれしいわ」
 こういう買い物は買うまでが楽しいのだ。

 女性たちがキャッキャッっと騒いでいるのをじっと楽しそうに見つめている騎士長だった。

 






メイドの晩餐会まで……あと1週間……







 (馬鹿な女だ!)

 (まさかここまで馬鹿とは!)
 


 (わかっていないのかよ!)
 なにやら考え事をしながら数人の騎士と城内を歩いているガッツ。少しいらだっている。話の内容は行かれないので断った……いや、今回ばかりは断りたかった。断る理由があってよかったのだ。


 (あれを……されたら……俺でもおかしくなる……それにだいたい……あれは……)


「どうされました団長殿」
 騎士の一人が不思議そうに聞く。
「うるさい、聞くな」
 言い返す。すると向こうからなんと……



 リリスがやってきた。




 (あ……)




 目の前に……リリスが……リリスたちがいる。
 どうやら買ったドレスをミセルバ様に見せにいくようだ。ようはご報告である。馬車から降ろした荷物をチェックしているメイドたち。それをみているリシュリューたち。他の騎士たちははやく終われといった様子。
 


 目が合う……リリスとガッツ。

 無視……無視のリリスだ。だがガッツは今回は無視する気はなかった。むしろ……

「おい、リリス」
「…………」
 何も言わないリリス。他のメイドたちがちょっとびびっている。メイドが騎士団長を無視することはあまりないからだ。

 ガッツは立ち止まった。
「おい!……」
 もう一度呼ぶ。

「騎士団長がお呼びだ! なにしとるかあ!」
 他の騎士が見かねて怒鳴る。ようやくガッツの方を振り向く。

 ――あ……あの匂い……

 襲われかけたあの時の香水の匂いがまたよみがえってくる……
 忘れかけていたあのいやな思い出。下を向いたまま黙っているリリス。

「もういい……」
 ガッツは何も言わなかった。リシュリューは少し不思議に感じる。

 ――どうなされたのだろう? 騎士団長殿は……

「行くぞ」
 ゆっくりと何も言わずにガッツは歩き始めた。


 (自業自得だ……そうだ……俺は馬鹿か? なにやさしさ出してやがる)

 何事もなかったかのようにガッツは歩き始めた。


 ――俺は……助かったのかもしれない……あの宴は正直……出たくはない……
 あそこまでは……おれには――






  出来ない……――



 くるっと振り向くガッツ……リリスを……作業をしているリリスを見る……
 だがその目は狙っている目ではない……

 むしろ……意味深い目だ。

 (決められたのならもうおれにはどうすることも出来ん)

 
 そう言い聞かせてガッツはこの場を去っていった。







「その日に暇を取りたいと?」
「はい」
 ミウがコクッとうなずく。ラルティーナが大浴場でゆったりと湯につかっている時だった。美しい胸と乳首が水に滴りエロスを出している。

「二日後にちょっと用がありまして……」
 ミウが外出の許可を求めている。どうやら何かあるようだ。
「……また……ガッツか……」
 うんざりするように言うお嬢様。そういわれると困るのがミウだ。仕方ないという顔をしているラルティーナ。いくら言ってもミウの気持ちは変わらないだろう。もう諦めているのだが、どうしてもミウには幸せになってほしいという気持ちがある。それだけいろいろな意味でお嬢様も世話になってもいるのだ。

「……お願いいたします」
「別に構わぬが……」
 そっけなく言うラルティーナ。
「ありがとうございます」
 二日後とはガッツがこの土地から中央に行く日だ。

「好きにするがよい、私はもう何も言わぬ、ところでこの前の娘はどうした?」
「はい……実は……」
「ふっ……やめたか」
 この前の娘とはミク似の女のことだ。にっこりと笑うお嬢様。

「は、はい……」
 ミク似の女はすぐにやめてしまった。いろいろ理由があったらしいのだが、一番の理由は……

「私の相手が嫌だったのだろうなあ〜」
 ずばり本音を言うラルティーナ。ドキッとするミウ。軽く笑うお嬢様。
「……い、いえ」
「隠さなくてもよい」
 平然と言い放つ。ラルティーナの夜のお相手が嫌だったのだろう。ミウの代わりが今いないのだ。

 いや、今というよりもう数年跡継ぎがいない。



 跡継ぎとは……もちろん……



 お嬢様のオナニー相手のことである。



「ミウ……」
 スッと自分の胸を軽く触る。合図だ。

「はい……」
 ミウはゆっくりとお嬢様の乳房を触り始めた。

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