複数の宴その2


「ああっ、くああっ、あん、だめ」
 手が自由にならない、足も自由にならない、おまけに体全体も自由にならない。でも、何も考えられない。出てくるのは官能の嵐のみ。体中が汗で、唾液で、ローションで覆い尽くされている。
 
気持ちいい。気持ちいい、乳首モット吸って、穴を掻き回して!もっともっとよ!

 絶え間ない快楽が次々身体を支配してミクの目はもう焦点が合っていない。

「さすがに理性もなにもなくなってきたみたい」
 リリスとともにこの淫らな痴態をじっと見つめてる女性がいる。

 アイラ…こんがり日焼けした小麦色の肌を持った女性だ。4人がかりで責められているミクの表情を見て彼女はにやにやしている。
「ふふ、あなたも昔はそうだったでしょ?」
 スッと身を寄せお尻の深いスリットの服の裂け目からリリスは手を忍ばせる。その瞬間、ミクを見下していた表情がこわばった。

「あっ、お、お姉さま」
「そういえばあなたをしばらく辱めてなかったわね」
 ミクの喘ぎ声を心地よく聞きながら、リリスは自分がこの土地に始めてきて得た玩具の花園の穴ををゆっくりと愛撫し始めた。アイラは、この宿を経営しているグラハムという男の娘である。リリスがこの土地に来たときにお世話になった男なのだ。
 リリスは元娼婦である。小さいころに両親から見放されたかどうかは知らないが、貴族に売られて行った。そこで彼女はいろいろな体験をした。複数の男との宴、そして女とも数え切れないほどの経験がある。初体験は13の時だ。売られた貴族の奥方に性的ないじめを受け、とうとう16の時、町を逃げ出した。
 それからは生きるためになんでもした。人を騙したこともある。老人とかは格好の獲物であった。
海賊等のやばい関係の組織にも通じていた。そうするしかかくまってもらう所がなかったからである。
のちに器量が認められ、海賊の頭領の妻に選ばれるところまで行ったのだが、内紛で未来の夫は殺害、再び追われる羽目になり、この土地へ逃げ込んできたのである。

 そこで知り合ったのが、アイラの父グラハムだ。娼婦の館、遊戯場などを経営している彼は、
ここら辺の裏の世界では、名が知れている人物だった。すぐに巧みに近づき妾になろうとしたが、
そこで邪魔されたのが娘のアイラなのだ。娘としてはこの得体の知らない女が家に入り込んでくるのをよしとしなかった。またグラハム自身も乗り気ではなかった。
 いきなり自分の妻にすれば何十人いる部下の間でいろいろ揉め事が起きる可能性があるからだ。
また裏には裏の掟があり、それなりの人物を妻にするのが慣例でもあったからである。
 そこで彼女はあっさり引き下がった。一度そういう醜い権力争いを見ているリリスは、もうかかわりたくないというのが本音だった。

だが……

 アイラは引き下がったとは見ていなかった。
 女とはそういうものじゃない。隙を見せればいつまた言い寄ってくるかもしれない。ここで徹底的に懲らしめないと。ミセルバ様のメイドになってもアイラは事あるごとに、絡んできたのである。
でもリリスはそれを逆に利用し最後には身も心も、リリスの想いのままにしてしまったのだ。

 今では無料でこの宿を貸している。またグラハムも元娼婦としてより、知識のある女性として認めているのもリリスには大きかった。しかし娘がリリスとこのような関係になっている事は知るはずもない。

「あ、あのう〜お姉さま」
「わかってるわよ、別室に行きましょうね」
 にこっとアイラは顔を赤くしながら微笑むとクスッとリリスは笑って返した。


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