ああっ、今日は――いないのよね。ミク。

 この2、3日に一回はミクと楽しい時間を過ごすのがもう日課となっているミセルバ。だが今日はその楽しい時間を与えてくれる相手はリリスのモノだ。もちろんメイドのミクのプライベートの事までミセルバは知っているわけではない。
 だが、噂はもう耳に入っている。 そう、リリスを慕う女達は結構いる。そしてその中には……ミク、ミクもいるのだ。狂わしいほどのたまらない攻め。どこまでも堕ちていく事をまるで許されるような焦らし。
 今日はその快楽を与えてくれる者がいない。いやミセルバにとって快楽だけではなく精神的な安定剤にもなるつつあるミク。

 ――ああっ、ミク。
ミセルバにとってミクの愛撫、いやミクその者はもうなくてはならない存在になりつつある。変わりはいない、ミク以外にはいないのだ。

 今日はどうしていないのかしら?

 メイド達は仕事が終われば夜の外出も宿直以外は自由だ。男を求めて遊びまわる者、ただひたすらお酒を飲む者もいる。開かれた社会をめざすこの国では、女性はこうあるべきという考え方は極力しないようにするのがこの国の人々の慣習だ。だがもちろんしきたりもあるが。

 リリス……リリスとは、どういう関係。

 少しずつ、少しずつ独占欲が高まるミセルバ。だがその刃をリリスに向けてはいけない。

 ――でもどうして、そう想うの?あ、ああっ、だ、駄目。またっ、また濡れて……。

 さっきベッドの上でイッたばかりの御領主、だが、その欲望はとどまる事を知らない。別にリリスとミクが関係している証拠があるわけでもないのに。

 ――噂……噂よ、でないと、なぜ私と……指が、指が……勝手に。ミクは私のこと想ってくれている・・・その上でリリスとも、関係してるのかしら――?リリスに……抱かれてるの?ミク……ああっ。

 ミク……ミク。

 いや、嫌よっ――ああっ……でもなんで。

 ますます――濡れちゃ……

 ――あうっ!

 リリスにミクが奪われているという感情が沸いてくるのになぜかますます濡れてくる、なぜ?ああっ……すごい、たまらない、ミク。この夜、ミセルバは、自分をじっくりゆっくり慰め続けた。
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