はあ〜昨夜は……最高……だった。

 ミクに愛撫をされ、いつイかせてもらえるかわからない切ない喜び。

 ――たまらなかった……また、また……。

 ミセルバは上半身裸でボーっとしている。なにかに支配されたかのように。

 あっ……そういえば、こんどは……いつ――してもらおうかしら。

 もうしてもらうことしか頭にはないらしい。相手にも与えるという気はないようだ。それでもミクとの関係はうまく行っていると思っている。事実、ミクはしてもらう欲求はリリスに満たしてもらっているようなものだから。だがミクが今悩んでいるとは夢にも思ってはいない。
「ミセルバ様」
「え?」
「聞いておられますか?」
「ああ……ごめんなさい」


 今、ここは女医ライザの診察室。健康診断を受けているのだ。
「最近調子はいかがでしょうか?」
上半身裸になっているミセルバにライザは問いかける。
「ええ、気分がいいわ」
「そうですか、では診察のため聴診器を充てさせて頂きます」
「ええ」
 ゆっくりと聴診器をライザが充て始めた。看護婦達もかしこまっている。御領主様がおられるのだから当然でもある。
「では後ろを向いてください」
 スッと言われたままに後ろを向くミセルバ。ん?向こうでなにやら声がするようだ。

「え〜そうなんですか?」
「はい」

 男官ロットだ。暇で持て余している看護婦達に囲まれている。最近こっちで雇った新しい看護婦5人がロットに話しかけているのだ。

 ――ロット――

 あの淫らな診察にあれからちょくちょく通っている。行くたびに媚薬を塗られている状態だ。おまけにイカせてはくれないのだ。まあ治療だから仕方ないといえば仕方がないが。

 治療のため……ということになってはいる。が、もうペニスを愛撫され、支配されているような状態だ。
看護婦達は治療中は追い出される。当然いろいろ影で言われている。
 現代ならセクハラ等でうるさいかもしれないが、この時代は両者が同意の上ならそうやかましく言われることはない。性には寛容なお国柄である。治療は、いつ完全に終わるのだろう?それが看護婦達の間ではもっぱらの噂だ。しかしあの様子では終りなどないだろう。

 まあ役得というところだろう。ロットも幸せものである。もちろんミセルバは知らない。知ればどうなるだろうか?一度聞いてみたいものだ。

 ミセルバが出てきた。
「戻りましょうロット」
 スッと看護婦達が一礼する。二人はすごすごとミセルバの執務室へ向かっていった。



 あれは……間違いなく――キスマーク。

ミセルバの首筋と乳首の周りについたのをライザは見逃さなかった。


 おとこ……かな?いや、あの時の。メイド?まあ……いいけどね。

 なんとなく気になるらしい。ミセルバ様はロットとは関係を持ってないことはもう確認済みだ。ライザは治療中にいろいろ聞き出しているのだ。しかし表向きはミセルバ様の愛人。へたをすればお怒りを受ける可能性もある。せっかく手に入れたこの地位を手放したくはない。しかし、好みであることはいうまでもない。

 なんとか……もっとロット君……と。親密になりたい。でも……。知らない間に不思議な関係を持ち始めた二人。ペニスを治療という名目で愛撫されるロット……ペニスを治療という名目で愛撫する女医ライザ
そういう関係まで発展しているらしい。椅子に腰掛けながらじっと考え込む。

 ――そういえば最近……鏡の前で……してないわ。

 勤務中にふしだらなことを考えているようだ。ロットとこういう関係になってから、不思議と回数が減っているらしい。欲求が満たされているのだろうか?逆に不満になるように思うのだが。女の心は複雑だ。書いている筆者にも理解できないモノがある。何度私も……振り回されたことか。おっと……脱線しかけたようだ。
 ライザはまだ考え込んでいる。周りはうるさい看護婦達がおしゃべりに夢中だ。10人に増えた看護婦。
 この暇な診察室では多すぎるようだ。

 明日はまたロット君が……ふふふ。

 クスクス心の中で笑いながらライザは微笑んだ。

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