あれから、もう一度ロットを説得しにいったミシェスタシア。
 だが、ロットの抵抗は強い。そうこうするうちに、、再びリリパットに呼び出された。

「そうか……やはりな」
「申し訳ございません」
「御領主はこのこと……もう知っていると思うか?」
 リリパットが聞いてきた。これが目的だ。

「いえ、それは……私にはわかりかねます」
 時間の問題だろう。

「ふむ……」
 そう言って立ち上がるリリパット。ミリアム以下数人の側近が見守っている中で……
 
 ――まあよい。 いずれ知るであろう。

 これでどうミセルバが動くかが、リリパットにとっては大事。

「拒否するなら仕方あるまい」
「なんとか、説得いたします。ですので」
 こんないい話をこのままなしにはできない。
「いや、もうよいのだ」
 次の手に入る御当主。

「ミシェスタシア、自由になりたいであろう」
「…………自由?」
「そうだ、財から、金からのの自由だ」
 どういうことかという目で見ている母親。

「そなたをお金の呪縛から解放したい」
 すっと近寄る。いよいよきたかと思うミシェスタシア。

 だが、ここも予想とは違った。

「そなたをじっくりと鑑賞したい」
 鑑賞? 

 意外な言葉が返ってきた。

「鑑賞……」
 意味がわからないミシェスタシア」
「そうだ、鑑賞だ、それが条件だ」
 言い切るリリパット。


 ロットの母親は、そんなリリパット卿を見つめていた。



「うわあ〜おいしい〜」
 にこにこしながら言う貴婦人。どうやらケーキを食べているようだ。一緒にいるのは、あのプリナだ。

 ――こういうところは子供だな。とても貴婦人には見えない。
 貴婦人というと、年齢の高そうな女性のイメージがある。しかし、シスアはそういうイメージは皆無。

 おいしそうにケーキを食べている二人を見ているミリアム。子供にしか見えない。
「ところで、ラルティーナのことわかった?」
「何をだ?」
 聞かれてわざとらしく言うめがね青年。

「何をじゃないでしょ? 弱点よ、弱点」
「そんなものあるわけないだろう」
 馬鹿じゃないかという言い方だ。あのお嬢様に弱点なぞあるはずがない。
 しいていえば、ミウの淫技に狂っているというところか。
 とはいっても、ミリアムもシスアもそのことは知らないし、それに、ミセルバさまのように、マゾ化されてはいない。

「ばかね〜それを探すのがあなたの役目なのよ」
「そうですよ、しっかりしてください」
 プリナも一緒に追い討ちだ。ケーキを食べてご機嫌な二人。なんともいいかげん風。

 ――まったく……こいつらときたら。

 もう関わりたくないミリアム。だが、引きずり込まれた以上、逃げ道もない。それどころか、事態はどんどん複雑になってきた。

「あなたラルティーナに呼ばれたってほんと?」
「な、なに?」
 ドキッとするミリアム。

 ――なぜ、そのことを……シスアにもプリナにも教えてはいないのに。

「呼ばれたんでしょ? シスアの世話人やってるのはだれかって……」
「誰から聞いた?」
「秘密」
 さっとはぐらかすシスア。

 ――隠しても仕方ないか。

 ふう〜とため息をつく。周りの部屋の雰囲気が変わる。シスアのこの部屋は、かなり豪華だ。リリパットが作らせただけはある。

「ああ、君を調べろと言われた」
「ふ〜ん」
 怪訝な顔で言うシスア。

「おとなしくしてろ。それが一番だ」
「や〜よ」
「あのな〜」
「いやです!――」
 プリナまで言い返す。最近ちょっと元気がいいプリナ。最初は、暗いイメージだったのだが。

「好きなようにしろ……まったく」
 この二人にはかなわんと思う。

「ふ〜ん、向こうも同じ事考えてるのね。あなたも大変ね」
 人事のように言う貴婦人。だいたい誰のせいでこんなに気疲れすると言いたい。
「お願いだ、おとなしくしてくれ、協力はするから」
 すると、なにやらじっとミリアムを見る貴婦人。

 そして……

「あなた二股かけてる?」
 ドキッとする言葉だ!

「な、なに?」
 悟られまいとするミリアム。

「もしかして関係した?」
 さらにビク! するどい女の感! そりゃそうだろう、同じ権力欲持った女同士。考えることは決まっているのだ。

「ば、馬鹿を言うな! そんなことあるわけないだろう」
 狼狽するミリアム。答えを吐き出しているような表情だ。

「そう……」
 済ました顔で言い返すシスア。


 ――これが女の感というやつか……なんてことだ。
 ミリアムの正直な感想。

「さて……と」
 食べ終わっていそいそとするシスア。

「さ、脱ぎなさいミリアム」
「…………」
 きたかという表情だ。

 いそいそと下半身を脱ぐ。それをまじまじと見るプリナ。

「わたし、今日はがんばります!――」
「え?」
 と思った瞬間だった。いきなりプリナがくわえ込んだ!
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