みな、熱い……

 熱い……

(畜生……熱いって)
 ユダバが軽く胸の襟を揺らす。少年の汗が胸に流れていく。それはミリアムもリリパットも、他の若い側近も同じだった。

 しかし、一番熱いのはミシェスタシアだ。まわりはたいまつに囲まれている。汗が出始める。

 ――これが……鑑賞。そういうこと……か。
 ミリアムは、意図がわかったようだ。そしてそれは、人妻にも伝わっていた。

「…………」
 まさに、未亡人という言葉も似合う美乳が、汗で少しずつにじんでいく。
 うなじから胸の谷間へ向かっていく汗に、思わずなりたいほどだ。

 少しずつイキが荒くなるミシェスタシア。これは考えていなかった。
 目的が見えてきた。すると、今度は恥ずかしさが出る。それが汗とまみれて表情に現れる。

 悟られまいと目は合わさない。一回転するたびに、リリパットと向き合う人妻。しかし、目だけは合わさない。そのしぐさがまた、たまらないのだ。

(ちえ、さっさとやらせてくれよ)
 ユダバが、心で平気な顔して思う。この少年、どうも心の素行は悪いようだ。

 ――あつい……

 恥ずかしいという心が、さらに汗をかきたて、身体を流れていく。するとどうだろう?


 だんだん透けてきたではないか!――

 (おいおい、こりゃたまらんぜ)
 ほんのりとだが、身体が透けてきているのだ。これがからくりだったのだろう。しかし、リリパットの目は好奇の目ではない。

 
 あのリリスを見ていた目とは……違う。


 じっと見ている。まるで絵画の鑑賞のように……

 ワインを注げというしぐさをするリリパット卿。ミリアムがさらにワインを注ぐ。

 ミシェスタシアが軽く息を吐く……
 吐息だ。

 ほんのりほっぺが赤い。見られていることに対する、表情だ。

 ――なんといえば……よいのか。なんという心地よい色気なのだ。
 うなずくリリパット。
 こういうのは、簡単には手に入らない。

 確かに価値はある。価値はあるかもしれないが……

 一方のミシェスタシアは恥辱と屈辱でいっぱいだ。だが、自分のドレスが透けていることまではまだわかってはいなかった……


 じっくりと出る汗、それに呼応するかのように、徐々に透けていくドレス。人妻は、下着はつけてはいない。こういうドレスには下着はつけない。しかし、完全に透明になるようなタイプのドレスでもないようだ。


 透けるのは微か……しかし、その微かが、さらにミシェスタシアの魅力を極限にまで引き出す!


 だんだん恥ずかしくなってきたのはミリアムだった。
 こういうことは考えていなかった。この微妙な透け具合に、興奮してしまう。

 脱いではいない、いないのに……


 ――すばらしい……

 目を丸くするリリパット。しかし、決していやらしい目ではない。そういう目は失礼であると言っているかのようだ。正面に人妻の肉体が来るたびに、目が輝く。そのリリパットの正面にくるたびに、目をしっかりとそらすミシェスタシア。

 ――こ、こんな……

 ものすごい恥ずかしさがこみ上げてくる。これなら、抱かれた方がよいとまで思いたくなる。

 もしやそれが目的?

 すると、濡れてきた身体に気づく。


 ――す、透けて……る?
 ようやく気づくミシェスタシア。その瞬間、油断していたのだろう、リリパット卿と目があってしまった。


 さっと、目をそらす。


 なんともいえない表情で目をそらす!
 ほんのりと赤みがかった人妻の顔が……汗にまみれた人妻の表情が。
 淫らに濡れる肉体が。

 最高のフェチズムを産むのだ。


 ――すばらしい〜 なんというすばらしい表情なのだ……
 感嘆の思いのリリパット。こんなすばらしい状況を生み出せるとは、正直思っていなかったらしい。


 他の側近の少年たちも、異様な雰囲気に包まれている。人妻の匂いと、フェロモンが、部屋中に撒き散らされているようなものだ。さらに手を出さないときた。


 これはもうたまらない。


 しかし、リリパットは手を出さない……


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