ロットがミセルバ様と青春を謳歌している頃……

 こちらではミシェスタシアが、好奇の目に晒されていた。だが、一向にリリパットは手を出さない。

 ――おい、いつまでこうするつもりだよ。
 いらいらしてきたユダバ。いつまでたっても集団レイプ命令が出ない。それもそのはず、リリパットはそういうつもりは毛頭ない。

 何か考えている50過ぎの老人。ゆっくりとワインを流し込む。一方の人妻さんは、たいまつの熱でむんむん状態。汗ぐっしょりだ。

 ――か、身体が……だめ。

 むんむんとした匂いが辺りにたちこめる。香水をつけていたミシェスタシア。それが匂いの発散の元だ。それに色気の成分が混ざり合い、少年たちと老人を狂わせる。もうアレが……という者も出てきている。こんなにエロチックなものはない。

 するとリリパットが立ち上がった。

「ごくろうだった」
 そう言うとミリアムに何か言う。しばらくするとメイドたちがやってきた。

 もう今日は終わりという合図。

「…………」
 ボーっとする人妻。目の焦点があっていない。このまま襲っても受け入れてしまいそうだ。メイドたちに手を添えられながら部屋を出て行く。

「お開きだ、また機会があれば呼ぶ」

 ――ええええ? お開き?
 てっきり一発やらせてくれると思っていたユダバは、不満たらたら。リリパットは何事もなかったように出て行く。

「おい、どういうことだよ」
「さ、帰ろうぜ」
 別の側近の者が平気な顔で言う。
「お前、知ってたのか? 手を出さないって」
「考えてもみろ、相手は貴族の当主だぞ」
 ミシェスタシアは没落貴族の当主だ。一応……

「じゃあなんで俺達をここへ呼んだんだ?」
 セックスさせるために読んだんだと決め付けているようだ。

「みせつけだろ? いいじゃねえかよ、良いもの見せてもらったぜ」
「あ〜ココが欲求不満」
 ユダバが股間を押さえつけて言う。こいつ結構下品だ。

 そんな言葉を尻目にミリアムはいそいそを出て行く。次の仕事が待っている。


 ――なんで、あんな奴が……

 側近になれたんだと思いたい。
 ユダバのようなタイプが嫌いなミリアム。ああいう下品な男は好まないようだ。
 ぶつぶつ思いながらミリアムはミシェスタシアの元へと向かった。




 ――疲れた……

 屈辱と恥辱に満ちた一時間。汗べっとりの身体を拭いてもらうミシェスタシア。お風呂に入るように進められたが、それは断った。
 この後、着替えてリリパットともう一度対面する。

 メイドがゆっくりと乳房を拭いていく。見事な美乳にうっとりするほどだ。メイドさんが見ても、魅力がありすぎるおっぱいなのである。

 ――後は……これで終わりなのかしら?

 この後の予定はよくわかっていない。お金を渡すつもりらしいのだが。
 部屋の外ではミリアムが待っていた。

 (すごい体験だった……)
 驚くめがね青年。
 確かにすごい体験。しかし、この男自身も二人の女とすごい体験をしている。
 いろいろ考えていると、これからのことが非常に不安なめがね男。

 と……

「ミリアム殿」
 考え事をしていたミリアムにメイドが呼ぶ。

「あ……申し訳ありません」
 サッとミシェスタシアを誘導するミリアム。人妻が部屋から出てくるのさえ気がつかなかった。今度は紫のドレスだ。着替えてすっきりしている。

 火照った身体が色気むんむんで誘う。女の特有の匂いが、香水と交わっている。
 一行為がまるで終わったかのような雰囲気だ。

 別の部屋に案内される。そこに御当主と数人の側近がいた。ゆっくりと金貨の入った袋を持って、ミシェスタシアに近づく。借金の一割にあたる金額が入っている。袋にはツス家の黒い蜂の紋章つき。

 これを貰えば、前回とあわせて借金の2割は消える……

 ――これで終わり?

 ミシェスタシアは信じられないという表情だ。これで本当に終わりなのという表情……

「次もよろしくお願いできるかな?」

 ――次?

 今度は次ときた。

「次もきてほしい。それが残りの金を渡す条件だ」
「…………わかりました」
 軽くうなづく。そしてリリパットを見る。少し酔っているようだ。だが、きれいな目をしているリリパット。 芸術にでも目覚めたかのような瞳だ。その表情にいろいろと思考がめぐるミシェスタシア。

 ――これで……これだけで?

 とても信じられない。フェチ的な鑑賞をさせてそれでこの大金……

 これが見物料?

「不服かな?」
「……い、いえ」
 思わずサッと目をそらしてしまった。当然、何かやっててくると思ったからだ。逆にそれを見透かされた。肩透かしのようなことになった。


 こうしてミシェスタシアは、借金の二割が消えた。億単位あろうかと金額の二割である。




「まいったぜ、見物してあの大金かよ」
「さすがは御当主様だ」
 口々で言い合う若い側近達。あれ見ただけであの大金をポン……だ。

「くだらねえ〜 さっさとさせてほしかったぜ」
「まあ、今度は手を出すかもな」
「今度? また今度もあるのか?」
 話題になり始めた。ネタとしては十分。


「まさか、これを続けるつもりかな? リリパット様は?」
「だろう、な。拒否すれば、金はそこで終わり。続ければ次もあるってとこじゃないか?」

 駆け引きだ。

「いずれは身体を許すと思うけどな。まさかこのままでは終わらないだろう。何か手を打ってくると思うぜ」
 あのリリパットがこのままで終わるはずがない。これじゃあ金を払っている意味がないからだ。

 だが、その様子を聞いていたミリアムはだけは違った考えを持っていた。
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