「きさま! どうしてここに!――」 ここはラルティーナの数ある別荘屋敷の一つだ。ミリアムたちが通うことはまずない。まして、プライベートのこの部屋から出てきたことに驚くユダバ。 「…………」 にらむミリアムだが、正直困っている。 「お前には関係ない」 「……こ、こいつ!――」 レイプしようとした人間が、今度はミリアムに襲い掛かる! 「やめなさい!――」 とうとうお嬢様が出てきた。汗びっしょりのラルティーナ。いい女の匂いと、性的な匂いが混ざり合っている。身体をかくそうともしない。むしろ見せ付けている。 だが、表情はきつい。 「……お、お嬢様……」 裸のラルティーナの姿にさらに驚く。これでもうミリアムとの関係は決まったも同然。 ――な、なんだとおおおおおっ? 「誰かと思えば……あなたですか」 「ど、どうも」 サッと低姿勢に方針変換。さすがにラルティーナには歯向かえない。金貸しギルドの総元締めの息子も、ツス家のNO2は非常に怖い。 チラッとミウを見た。もう何をされたかわかっている。 「帰りなさい」 「は、はい」 緊張するユダバ。 「それと、今度ミウにこのような真似をすれば……許しませんよ」 「……わ、わかりました」 サッと引き上げるユダバ。権力的にやばい状況では逃げるが勝ちだ。にしても、お嬢様はなんとなく気を使っている気もする。帰っていくユダバにも美乳を見せ付けるように向けているラルティーナ。 しばらく見ていたが…… 「さ、一休みしましょう」 「は、はい」 いそいそと部屋に戻る青年。 「ミウ……大丈夫?」 「ええ、なんとか」 「もう、あなたには手を出さないとは思うけど……今度あのような真似をしたら私に言ってちょうだい」 ミウはうなづく。 ありがたい、ラルティーナのお墨付きをもらえば、もう誰も手は出せない。お嬢様も奥へ引っ込んだ。 「うふふ、ばれちゃったみたいね」 「……はい」 いずれはわかることだ。 「明日中には噂になっているかしら?」 「……おそらく」 これからが大変だ。数年間、男を寄せ付けなかったラルティーナお嬢様。それがミリアムを…… 若い側近の嫉妬はすごいだろう。それだけではない。 重鎮と呼ばれる長く仕えている側近たちにも…… ――なんだ……この胸騒ぎ。 ミリアムはもう恐ろしくて恐ろしくて……とてもアレは…… しっかり勃っている。 勃たないなんて許せないという表情で、ラルティーナが無理やり咥え込んでいるのだ。 「がんばるのよ」 まだまだ責め立てるラルティーナ。上目遣いでミリアムを見る。辛そうだ。 ――うふふ……気にいったのよ。絶対に離さない。絶対に…… 強引に勃起させられるペニス。唇を噛むミリアム。今後のことを考えていては、萎えてしまう。 今は必死に勃起するしかない! どんどん引き返せない方向へ突進するミリアム。ああ、この男の運命はいかに…… ――噂どおり。とんでもない男。 スカートの辺りを触るミウ。 ユダバは自分の父が、金貸しギルドの総元締めの立場を悪用しているらしい。もっとも、一発やらせれば、借金はチャラなんてこともやっているようだ。 ――ラルティーナ様…… 本来ならもっと怒ってくれると思っていたのだろう。だが、金貸しギルドの組織力はあなどれない。あまりことを荒立てたくないのがお嬢様の本音だった。 とにかく助かった。 まさかここで男に襲われるとは夢にも思っていなかったのだから。 「でも……あいつ、どうしてここへ?」 ――ラルティーナさまにお近づきになりたいって……言ってたわね。 ミウは、胸をキュッと掴みながら考えている。 ――お嬢様に近づいて……自分の立場をって、とこかしら? まあ、誰もが考える事だが。 ――ミリアム殿も大変ね。 同情しているようだ。さっきまでちょっと複雑だったはずのミウ。ちょっと汚れたスカートを見ながらミウは思うのだった。 どういうことだ! どういうことだ! 納得できないユダバ。納得など出来るはずはない。あのラルティーナは、簡単に男を受け入れるタイプではないと聞いていたからだ。逆に言えば、受け入れて貰えれば将来は固い。 ――くそ…… 先を越されたという感じだ。二人は同期に側近になった。いずれラルティーナに近づきたいと思っていたユダバ。リリパットの後は、ラルティーナだからだ。 この男には金の力がある。だからラルティーナのプライベートも調べるのも容易。 で、今日は近づいてきたというわけだ。 「畜生……」 ミリアムに対抗心を燃やす。同期の男には負けたくないという想いも強いのだ。 だが、今日は引き下がった。 というかショックである。 「あいつ……どうやって」 嫉妬がすごい。このままでは怒りは収まらないだろう。 ――このままで……済ますかよ。 ユダバの赤い唇が怒りに震えていた。 |
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